「芋島」復活へ!宗像・地島で半世紀ぶりにサツマイモ収穫 定住への収入源に

収穫したサツマイモを手にする子どもたち

記事 INDEX

  • 「応援団」が奮闘、600キロ実る
  • 漁村留学の小学生も活動に参加
  • 料理やスイーツに販路ひろがる

 福岡県宗像市の地島(じのしま)で半世紀ぶりのサツマイモ栽培に取り組んでいるボランティアグループ「地島応援団」がこの秋、初収穫を迎えました。2か所の畑で約600キロが実り、菓子やおせち料理の材料として買い手もつきました。人口減少が続く島が有人島のまま存続できるよう、新たな収入源として定着するまで奮闘は続きます。

漁村留学の小学生も活動に参加

 地島は「芋島」と呼ばれるほどサツマイモ栽培が盛んでした。しかし、住民の減少や高齢化などで島の農業が衰退し、人口も最盛期の4分の1を下回っています。


5月に行われた苗の植え付け作業


 そんな島を守る手助けをしようと、離島振興を担当した経験がある宗像市職員や会社経営者らが昨年、応援団を発足させました。人が住み続けるには漁業と並ぶ新たな収入源が必要と考え、かつて特産だったサツマイモに着目。長年放置されてヤブになっていた畑を切り開き、試験栽培を経て今年、「ベニアズマ」と「べにはるか」の2品種の苗を植えて本格的に栽培を再開しました。


サツマイモを収穫する応援団のメンバーや小学生ら

 天候に恵まれて順調に育ち、9月23日と10月2日に収穫。新型コロナウイルスの緊急事態宣言が解除された直後の2日は、島民や漁村留学の小学生ら約30人が畑に集まりました。土を掘り返し、大きなイモを持ち上げる度に歓声を上げました。


収穫を終えて笑顔の参加者たち


advertisement

料理やスイーツに販路ひろがる

 応援団は栽培するだけでなく、安定した収入源とするための販路開拓にも力を入れています。宗像市で包材デザイン会社を経営する佐藤靖成さん、市職員の愛月翔さんがサンプルのイモを持って業者を回り、芋島の復活計画を説明しました。

 宗像市赤間の「椋の木ムック」シェフパティシエの稗田真輔さんは愛月さんから話を聞き、「応援できるのなら」と地島のサツマイモを使うことを快諾しました。これまでもイチゴやイチジクなど地元の果物を使っており、今回は地島産のイモを前面に出したパイ、モンブラン、クッキーを作り、販売を始めました。「イモ自体の糖度が低いので、甘さを加えて加工するには扱いやすい」と言います。


地島産のサツマイモでモンブランとパイ、クッキーを仕上げた稗田さん

 地島応援団は11月7日、福津市の宮地嶽神社参道で名物の松ヶ枝焼(松ヶ枝餅)を販売する「島屋」で地島産サツマイモの販売会を開きました。


地島のイモを使った松ヶ枝餅を焼く阿部さん


 1941年創業の島屋を営む阿部幸子さんは応援団から50キロを仕入れ、松ヶ枝餅のあんを作りました。宗像市・大島産の塩などで味を調え、サツマイモ100%のあんを完成。「イモ自体の味がいいのでこれだけで十分おいしい。島をもり立てる活動を応援していきたい」と話します。珍しいサツマイモの松ヶ枝餅は七五三のお参りに来た親子連れらの人気を集め、多い時は20人以上が店先で焼き上がりを待つほどでした。


珍しい松ヶ枝餅を求めて島屋の前で焼き上がりを待つ参拝者ら

 500グラム200円の生のサツマイモ、菓子店やパン店が工夫を凝らしたケーキやパン、スイートポテトも販売。応援団のメンバーが店頭で揚げる天ぷらも次々に売れました。


各店が工夫を凝らして作ったケーキやパン、スイートポテト

 応援団にはイタリア料理店や仕出し店などからも注文が相次ぎ、今年収穫した600キロはほぼ完売。べにはるかは収穫量を上回る大量の注文があり、応えられませんでした。本格栽培1年目での予想を上回る反響に、「来年は自分の畑でも」と考える島民も出始めているそうです。

 「需要があることが分かったので、来年は今年以上に島の皆さんと一緒になり、最低でも1トンの収穫を目指したい」と応援団事務局長の中脇貴裕さん。建築土木会社を経営する応援団長の井上憲司さんは「時間をかけて島の手伝いを続け、いずれは島の人たちだけで栽培できるようにして引き継ぎたい」と話しています。

漁村留学の小学生を募集!
​ 地島で島外の子どもたちを漁村留学生として受け入れている「地島校区漁村留学を育てる会」が、20年目となる来年度の留学生を募集しています。
 対象は来年度の小学4~6年生。漁村留学センター「なぎさの家」で集団生活をしながら、島の子どもたちと共に宗像市立地島小で学びます。期間は来年4月1日から1年間。毎月4万5000円の生活費と、学期ごとに学校教材や給食費などとして3万9000円程度が必要です。選考委員会が面接などで5、6人程度を選びます。
 また、なぎさの家に住み込み、留学生の生活や学習の指導などを担当する指導員2人も募っています。書類選考後に面接を行います。
 募集期間は留学生が12月24日まで、指導員が来年1月末まで。問い合わせは、育てる会事務局(℡ 0940-62-3394)か地島小(℡ 0940-62-1171)へ。


advertisement

この記事をシェアする

  • テアトルアカデミー
  • 読売旅行 行くばい!よか旅
  • 読売新聞 購読の申し込み
  • 西部読売育英奨学会 よみいく
  • ささっとーも読める読売新聞オンラインアプリのご紹介