コミュニティー再生に向かって一歩ずつ前へ! 宗像・日の里団地に広がる笑顔
記事 INDEX
- 「ひのさと48」が再生の推進力に
- 中学生発案「団地クライミング」
- 「団地発ビール」国際審査で受賞
高度経済成長期に開発され、住民の高齢化が進んだ福岡県宗像市の日の里団地で、コミュニティー再生の取り組みが前に進んでいます。中核になっているのは、集合住宅の旧48号棟を改修した「ひのさと48」。保育施設やカフェ、クラフトビール醸造所などが入る建物の壁面にはクライミングウォールが完成し、団地で生まれたビールは国際審査会で高い評価を受けました。
中学生発案「団地クライミング」
5階建ての「ひのさと48」に誕生した「団地クライミング」。近くの市立日の里中で地域の活性化について話し合った際に、3年の北原拓朗君と楢原直人君がクライミングウォールを発案しました。
施設を運営する東邦レオ(大阪市)と西部ガス(福岡市)がクラウドファンディングで支援を呼びかけたところ、目標を上回る275万2000円が集まり、5段階の難易度別に六つのコース(高さ10メートル)ができました。
クライミングウォールは11月初めにお披露目され、北原君は「中学生の夢を大人が実現してくれました。団地の壁を登っているという特別感が最高です」と声を弾ませました。ウォールの営業は原則、土日・祝日の10時~17時。料金は大人1000円、高校生600円、小中学生300円です。
「団地発ビール」国際審査で受賞
旧48号棟の一室を改装した醸造所「ひのさとブリュワリー」では、宗像産大麦を使って地元の地名を付けるなどしたビールが人気を集めています。ここで生まれたビール2銘柄が、世界5大審査会の一つでブロンズ賞を受けました。
審査会は、日本地ビール協会主催の「インターナショナル・ビアカップ2021」。今年は八つの国と地域から943のビールが出品され、9月に横浜市で審査が行われました。ひのさとブリュワリーは、ベルギービールの「甘夏ベルジャンホワイト」と、アメリカンスタイルの「アンバーエール」でエントリー。それぞれの部門でゴールド賞の該当がない中、ブロンズ賞を獲得しました。
醸造責任者の馬込賢太郎さんは、九州大の学生らと一緒に糸島市で甘夏を収穫し、仕込みました。来年は「ビールのオリンピック」と呼ばれる世界最高峰の審査会にも挑戦する予定で、「団地発のビールが世界で活躍することで、団地再生に注目してもらえたらうれしい」と話しています。