若い力で地域を守れ! 校区の高齢化が進む宗像・日の里中の3年生が避難所運営訓練

プライベートルームやパーティションを立て、避難者役の住民を誘導する生徒たち

 大規模地震を想定した避難誘導と避難所運営の訓練が、福岡県宗像市の市立日の里中学校(栗原和亮校長)で行われた。きっかけは2016年の熊本地震。訓練内容の大半は事前に知らされない抜き打ちで、3年生100人の対応力が試された。

次々に難題、協力して対応

 9月10日午前9時過ぎ。震度7の地震が発生したとの想定で訓練は始まった。

 体育館では、避難所運営班が町内会ごとや外国人、子ども向けなどに分けたブースの設営に取りかかった。避難ルート班は自力で逃げられない人を迎えに、各町内会の集合場所に向かった。


体を支えたり、背負ったりしながら避難所へ誘導した

 待っていたのは、妊婦、負傷者、全盲、新型コロナウイルス感染の疑いなどの役を演じる住民。生徒は手を引いたり、背負ったりしながら体育館へ誘導した。

 受付で検温と消毒を行い、アレルギーの有無や離ればなれになった家族の名前などを把握。余震を知らせる警報音が断続的に響き、照明器具の落下や停電などが相次ぐ中、避難者役から次々に難題がぶつけられた。


避難者に寄り添い、必要な情報を記入してもらう

 「腹が減った」「この人、コロナじゃないの?」「コロナの人と同じトイレを使わせるのか」「いびきがうるさい」「授乳できない」「もう帰らせて」――。

 生徒たちはその場で考え、声を掛け合いながら、備蓄倉庫から食料を運んだり、パーティションを立てたりといった対応に追われた。「産まれそう」と訴える妊婦の声に、「助産師や看護師はいませんか」と館内に呼びかけたが、不在。救急車を要請し、無事な出産につながった。

「考えていた以上に難しい」

 同校が防災教育に力を入れるようになったのは2019年。熊本地震で被災した熊本県南阿蘇村立南阿蘇中で、復興支援教員として教えた経験がある中村朋子教諭が赴任してきた。それを機に、南阿蘇中で震災を経験し、防災教育を担当した古賀元博教諭や生徒らを招いて話を聞くなどしてきた。


避難者に分かるよう館内の区割りを貼り出す


 今年度は東日本大震災の被災者からオンラインで体験を学んだほか、3年生と地域住民が南阿蘇村を訪れて同校と交流し、震災遺構を見学。校区内の避難ルートマップも作成した。


 学校がある日の里地区はニュータウンとして開発されて半世紀が経過し、高齢化が進む。日中に災害が起こった場合、働いている世代や大学生、高校生は地区外に出ているため、「最も動ける中学生が初期対応の核に」との考えが防災学習の基にある。


余震の警報が響くと、真っ先に避難者の頭部を段ボールで守る

 訓練に参加した住民からは「危機感がない」「勉強不足」といった声も聞かれたが、妊婦役の野上妙子さん(86)は「優しい対応に癒やされました。いざという時に心強いです」。熊本から訪れ、見守った古賀教諭は「避難者の全ての要望に応えるのは無理。できることは自分でやってもらい、頑張りすぎない運営を」と助言した。


訓練に参加した住民の感想を聞く生徒たち

 避難所運営班リーダーの渡部結翔君(14)は「考えていた以上に難しい。避難者が不安にならないよう、自分たちがパニックにならないことが大切だと分かった」と話した。


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