ゲームの力で地域を元気に 「福岡eスポーツ協会」が描く新しい交流のカタチ
記事 INDEX
- 「ゲームで遊ぶ」をスポーツに!
- ゲーム産業、起業に熱心な福岡で
- 「eスポーツ=福岡」を目指して
eスポーツの普及を目指して様々なイベントや大会を開催している「福岡eスポーツ協会」。コロナ禍による「巣ごもり」で2020年のゲーム市場規模が世界で20兆円を超える中、協会会長の中島賢一さん(NTT西日本)、事務局長の古賀聡さん(ニワカソフト)、事務局次長の内村孝幸さん(QTnet)にその魅力や将来性を聞きました。
「ゲームで遊ぶ」をスポーツに!
中島さんによると、世界の総人口78億人のうち、ゲームをしたことがある人は27億人を超えるといわれ、3人に1人は何らかのゲームをした経験がある計算になります。その中で、日本でゲームを愛好している国民は全体の68%にのぼり、国内にはゲームになじみのある人が比較的多いことが分かります。
国内では2018年1月に「日本eスポーツ連合」が誕生し、徐々に市場が広がっています。ただ競技人口は約360万人と、サッカー(約750万人)や野球(約730万人)に比べると、まだまだ少ないのが現状です。「私たちのような協会が、ゲームで遊ぶことをスポーツ化していくことが求められています」と中島さんは語ります。
なぜゲームがスポーツなのか、疑問に思う人もいるかもしれません。「スポーツ」という言葉は元々、ラテン語で「気晴らし」や「リフレッシュ」を意味します。体を酷使して運動することだけがスポーツとは限りません。ゲームは世代や性別、地域を超えて楽しさを共有でき、「今後の社会の課題を解決する力がある」と説明します。
感情が揺れ動くという点も、ゲームの魅力の一つです。「ゲームで負けて悔しいから、次は勝てるように頑張ろうと熱中する、この姿勢が重要です」と中島さん。大人になるにつれ、感情の振れ幅は小さくなってしまうものですが、近年ではこの働きが注目され、ゲームを通じた交流に取り組む福祉施設なども増えています。
ゲーム産業、起業に熱心な福岡で
2018年9月に設立された福岡eスポーツ協会は、従来のスポーツのジャンルにゲームを組み込んで、ゲームをベースとした人々の交流や心身の発達を促すことを理念にしています。内村さんは「eスポーツでは、ゲームをすることを目的とするのではなく、その先に何を求めるのかが大事です」と語ります。
協会には現在、企業や自治体、個人を含めて約190の会員が所属しており、依頼主の要望に沿ってゲームを使った事業のアドバイスを随時行っています。
協会が拠点を置いている福岡市は、「ゲーム産業都市」を目指すことを2006年に宣言し、行政としてもゲームに理解があり、さらにスタートアップ(起業)に力を入れている街です。「eスポーツの普及を目指すうえで、クリエイティブ産業を支援している福岡は活動しやすい」と古賀さんは話します。
2019年には市の協力も得て、アメリカ・ラスベガスから"世界最大規模の格闘ゲームの祭典"を誘致し、「EVO Japan 2019」を福岡国際センターで開催しました。
「eスポーツ=福岡」を目指して
今後の展望について、古賀さんは「イベントなどの実績を重ね、一般の人もeスポーツに気軽に関われることを発信していきたいです。『eスポーツといえば、福岡が盛り上がっている』と言われるようにしたい」と意欲を語ります。
日本では、ゲームが元となってアニメに派生するメディアミックスや、ゲームの劇伴でオーケストラコンサートが開かれるなど、すでにゲーム文化が根付き、多くの人が触れています。
今後、eスポーツを事業として継続していくうえでも、ゲームになじみがない人に魅力を広めていくことが必要です。協会はeスポーツを文化として発展させるための針路も探し求めていく考えです。
福岡eスポーツ協会は、企業や自治体、個人の会員を募っており、「コミュニケーションや地域振興のツールとして、eスポーツに関してできることがあれば、積極的に取り組んでいくので相談してほしい」と呼びかけています。
名称 | 福岡eスポーツ協会 |
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所在地 | 福岡市博多区博多駅前3-18-9 ブルク博多駅前 B1F |
公式サイト | 福岡eスポーツ協会 |