戦火続くウクライナを消火剤で支援 シャボン玉石けんが送る
ロシアの侵略が続くウクライナの消火活動を支援しようと、無添加せっけんで知られるシャボン玉石けん(北九州市)は8月17日、環境に配慮した「石けん系消火剤」を現地に向けて発送した。ウクライナのセルギー・コルスンスキー駐日大使は出発式にビデオメッセージを寄せ、「ウクライナでは毎日のように無慈悲な攻撃を受けている。迅速に消火することが多くの命を救うことにつながる」と感謝の言葉を述べた。
少ない水で消せる
この消火剤は、阪神大震災で十分な水が確保できずに消火活動が難航した教訓から2001年、同社と北九州市立大、市消防局が連携して開発に着手。建物用が07年に完成し、林野火災用にも改良している。
同社によると、主成分は天然油脂せっけんで、通常の10分の1以下の水量で消火できる。在日米軍基地や周辺で検出され、発がん性の恐れが指摘される有機フッ素化合物(PFAS)も使っていない。
石けん系消火剤について長年取材しているノンフィクション作家の山根一眞さんが今春、在ウクライナ日本大使館に物資支援を相談。その後、ウクライナ非常事態庁から希望があり、消火剤の提供が決まった。
「一日も早く平穏に」
この日は、消火剤入りの容器150個(計3000リットル)を積んだトラックの出発式が市役所で行われ、武内和久市長や上江洲一也副学長らが出席。森田隼人社長は「環境に非常に優しく、少ない水で消火できる。一日も早く平穏なウクライナに戻ってほしい」とあいさつした。
消火剤は門司港からポーランドまで船で輸送し、その後は陸送で10月末頃に同庁へ届けられる。水で薄めて使うため、約300トンの消火水に利用できるという。