紅葉シーズン到来!準備をしっかり整えて秋の登山を楽しもう
記事 INDEX
- 紅葉モニターで見頃を確認
- まず登山届を出してから!
- 楽しく山を満喫する準備を
気候も次第に涼しくなり、山の木々が色づく季節を迎えました。登山用アプリを開発・運営する福岡市の「YAMAP(ヤマップ)」は、アプリで寄せられた投稿から「リアルタイム紅葉モニター」をウェブ上で公開しています。どの山を、どんなルートで進むのか、計画を立てる際の参考になりそうです。アプリには登山届を出す機能もあります。低山でもしっかり準備をして、秋の山登りを安全に楽しみましょう。
紅葉モニターで見頃を確認
リアルタイム紅葉モニターは、ヤマップが2020年に始めたウェブサービスです。特設サイトには各地の地図とともに、アプリ利用者が登山中に撮った写真が表示され、様々な地域の紅葉の状況がひと目で分かります。
画面上の地図表示を気になるエリアに移動すれば、その一帯で撮影された紅葉の写真が表示されます。地図は拡大・縮小でき、ズームインすると、より範囲を絞って紅葉の様子を確認できます。
また写真をクリックすると、それぞれの撮影地点や投稿者が通ったルート、移動時間などの記録もたどれ、入山前の下調べに役立ちます。
まず登山届を出してから!
同社が運営する登山用アプリは、地図をダウンロードし、スマートフォンのGPS機能を利用して登山計画を作成できます。大分、熊本、山口県などヤマップと協定を結んだ自治体ではアプリからの申請も可能です。同社の広報担当者は「アプリを情報収集にも活用し、楽しく安全に山を満喫してほしい」と話します。
福岡県ではアプリで作った計画書を印刷すれば登山届として利用できます。同県警ではスマホやパソコンなどから登山計画書を出せる電子申請も受け付けています。
九州は低い山が多いのが特徴で、福岡県内では1000メートル以下の山々が連なっています。紅葉狩りにハイキングと、山は身近な存在です。
「“気軽な山”こそ注意が必要」。福岡県警は低山での遭難の危険性を訴え、無理のない計画を立て、登山計画書を提出するよう呼びかけています。
県警地域総務課によると、2022年に県内で発生した山岳遭難は54件・計70人で、過去10年で最多となりました。無事救出されたのは52人で、2人は死亡、16人が重軽傷を負いました。
このうち登山届を出していたのは1件のみ。同課は「山に入る時には必ず登山届を出してください。捜索範囲の絞り込みといった初動対応に有効で、早期発見につながります」と強調します。
また、県警が過去5年の統計を分析したところ、20歳未満と60歳以上の遭難が多いことが分かりました。ほとんどが「道迷い」で、疲労による遭難を含めると、7割近くがルートの未確認や体力不足など事前の準備不足が原因でした。
今年は10月9日現在、39件の山岳遭難が認知されています。遭難者53人のうち3人が亡くなり、行方不明1人、重軽傷15人、無事救出34人となっています。
アウトドアブームで山登りを始める人が増えており、同課は「行き当たりばったりで山に入らないで」と注意を促します。
楽しく山を満喫する準備を
福岡市中央区の六本松蔦屋書店では、ヤマップのポップアップストア「山歩屋(さんぽや)」を10月22日まで展開しています。
ここでは、山や街中ではける衣類など40~50種、300点近くを販売しています。レンタルにも対応し、ザックや靴、ウィンドブレーカーなど約70種類を1点につき2000~4000円(7泊8日)で借りられます。ヤマップ社員も店頭に立ち、コンシェルジュとして初心者に登りやすい山を教え、装備のアドバイスもしてくれます。
ストアは、同社が今年から始めた「山歩プロジェクト」の一環。山頂を目指す登山だけでなく、自然の中を気持ちよく歩く“山歩”の楽しみ方を提案します。
ヤマップの﨑村昂立さんは「山での楽しみ方は無限。その人の趣味や好きなこと、家族で行くのかソロなのか。条件にぴったりの山を案内します」と話します。
水辺をゆっくり歩いたり、山腹に築かれた城跡を探検したり。さらに、神社での御朱印集め、窯元や温泉巡り、キャンプと様々な過ごし方があります。﨑村さんは「これからの時期、紅葉なら四王寺山(太宰府市、大野城市、宇美町)がおすすめ。県民の森があり、道も整備されて歩きやすいですよ」と教えてくれました。
楽しい思い出を残すためにも、ストアを訪れた人には、準備と下調べの重要性を伝えています。靴は底に溝の入った滑りにくいものを用意し、スマホとモバイルバッテリー、飲み物、防寒着などは最低限の必需品といいます。
これから福岡県内では、山頂から徐々に木々が鮮やかに色づきます。「思いつきで山に登っても、嫌な思い出になってしまいます。たくさんの人が『山は楽しい』と思える体験ができるように後押ししたい」と﨑村さんは話します。