病院のためのバス停を! 西鉄と九州大学が新デザインを考案
記事 INDEX
- 人にやさしい「リーフ」
- 利用しやすいバス停に
- 今後の研究にも期待!
福岡市南区塩原の九州中央病院前にあるバス停が刷新され、アート感の漂うデザインが利用者や通行人の目を引いています。関係者に話を聞くと、その経緯や設計に込められた思いがみえてきました。
人にやさしい「リーフ」
赤と白の鮮やかな色づかい、「ロ」の字のような造形が特徴的なバス停。日赤通りで9月中旬、大橋方面に向かう新しい「中央病院前」バス停の利用が始まりました。
西鉄と九州大学大学院芸術工学研究院が2017年度から共同で取り組む「バス停デザインプロジェクト」の一環です。今回は「病院のためのバス停」を基本理念に設計を進め、屋根部分の葉っぱのような形状から「リーフ」と名付けられました。
ベンチと上屋を一体化した柔らかいデザインで、視認性に優れた色彩にしました。お年寄りから子どもまで、さまざまな利用者を想定してベンチは2種類の高さ(35センチと45センチ)の座面を備えています。
西鉄によると、「以前よりバス停の周りが明るくなったように感じる」といった声が出ているそうです。設置後の状況を確かめたうえで、西鉄の担当者は「ほかの病院のバス停にも展開できれば」と期待を寄せます。
利用しやすいバス停に
プロジェクトは、同研究院が持つサインデザインの知見をバス利用者の利便性向上に生かすことが目的。これまでに、福岡市中心部のバス情報案内リーフレット、街路灯バナーによるバス停案内などが実用化されました。プロジェクトには今年度、西鉄自動車事業本部から3人、同研究院から大学院生8人を含む11人が参加しています。
新デザインのバス停は、19年度から大学院生らが行ってきたフィールドワークや実寸大模型の製作、バス運転手らへのヒアリングなど数々の蓄積を引き継いで誕生しました。大学院2年の川﨑大雅さんは「ものづくりの貴重な機会を学生時代に得られて幸せ。設置されたバス停を見たときは、原寸大模型とは違う迫力があって、驚きとうれしさを実感しました」と話します。
今後の研究にも期待!
プロジェクトから生まれたバス停が、実際に設置されたのは今回が初めてです。ただしゴールではありません。これから利用状況の検証などを進めて課題や改善点を探り、今後の取り組みに生かしていく方針です。
研究院の迫坪知広助教は「病院前のバス停として認知され、定着していけば、バス利用者だけのものだったバス停が地域のアイコンにもなりうる」と語ります。葉っぱの形のバス停が、病院の”目印”になる日がいつか訪れるかもしれません。