「雑誌スポンサー」で本棚充実!経費も節減! 筑後市立図書館

雑誌が並ぶ書架の前で雑誌スポンサーの取り組みを説明する一ノ瀬館長

 福岡県の筑後市立図書館は、貸し出し用の雑誌を増やし、利用者により多くの活字情報を届けようと、11年前から企業などに「雑誌スポンサー」になってもらい、購入費を負担してもらう取り組みを続けている。取り扱う雑誌は現在114誌で、うち48誌にスポンサーがついている。関係者は「厳しい財政事情のなか、多くの善意に支えられ、図書の充実につながっている」と感謝している。

カバーに広告、購入費負担

 同図書館は、雑誌スポンサー制の実施要項を作り、2012年4月に導入。スポンサーになる企業や商店、団体には、特定の雑誌の1年間分の購入費を負担してもらう。図書館は雑誌にかける透明カバーの裏面に企業などの広告を載せ、書架には雑誌名とスポンサー名を掲示する。

 雑誌スポンサー制は、市役所全体の経費節減を進める中で市がアイデアを募り、職員が提案した。ただ、図書購入費を抑えることが主な目的ではなく、スポンサーの負担で浮いた費用を他の図書購入に充てている。

 取り組み開始時に、市民らでつくる「図書館を支える会」の幹部が複数の企業経営者らを紹介したり、当時から館長を務める一ノ瀬留美さん(61)がロータリークラブや経済団体の会合に出向き、雑誌スポンサーの仕組みを説明したりして理解を広げてきた。今年も新たに6誌のスポンサーが決まったという。

時刻表や漫画雑誌など多彩に


雑誌スポンサー制度を紹介する筑後市立図書館のホームページ


 114誌の購入費計約108万円のうち、48誌の計約42万円をスポンサーの負担で賄っている。スポンサーが市内の書店と契約を結び、カバーに挟む広告も自前で用意し、図書館の負担軽減と経費節減につなげている。


 スポンサーの中には、「自分は旅ができなくなったが、これを見ていると幸せな気分になる」と、「JTB時刻表」(月刊)を選んだ男性や、「新しい社名になり、知名度を高めたい」と、図書館になかった漫画雑誌「週刊少年ジャンプ」を選び、新旧の社名だけを印刷したシールを裏表紙に貼っている老舗企業もある。

 一ノ瀬館長は「雑誌は新聞とともに最新の情報を活字で伝えてくれる。各スポンサーには毎年、貸し出しや閲覧の状況を説明しており、何年も協力してくれているケースも多い」と話す。

 問い合わせは同図書館(0942-51-7200)へ。


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