みんなに快適な九博へ 音や光を「あんしんマップ」でお知らせ
九州国立博物館(福岡県太宰府市)が、音や光などに対する感覚過敏を抱える人向けに、「あんしんマップ」を作成した。刺激の影響を受ける可能性がある場所を事前に知らせ、ストレスなく館内で過ごしてもらう全国的にも珍しい取り組みという。
感覚過敏に配慮
取り上げた刺激は、「光」「音」「人が多い」「におい」。マップは刺激別のほか、すべての刺激をまとめた計5種類を作成した。「明るい」「静か」「音がする」といったマークを描き込み、休憩所、救護室などの場所も明記している。
例えば「におい」マップには、4階の文化交流展示室の一部に匂いのマークが記され、「お香やスパイスのにおい」との説明を添えた。「音」マップでは、鐘の音が流れる場所に「音がする」マークを示している。
ホームページでダウンロードできるほか、館内でも配布している。作成に携わった企画課の西島亜木子主任研究員は「マップの情報を公開したところ、SNSに反響の投稿が寄せられるなど反応は予想以上。必要としている人がこんなにいるのかと実感した」と話す。
珍しい取り組み
感覚過敏の人に配慮した館内案内は、センサリーマップなどと呼ばれる。「東京国立博物館」(東京都)や埼玉県立「川の博物館」(埼玉県寄居町)などで導入されているが、国内ではまだ珍しいという。
九州国立博物館では海外での事例を参考に約1年前から準備を進め、福岡市立発達障がい者支援センター(ゆうゆうセンター)の協力を得ながら作り上げた。
同センターによると、感覚過敏は発達障害を持つ人に見られることが多く、外出がしにくいといった悩みを抱える人が少なくないという。西島主任研究員は「このマップにより博物館がより快適な場所となり、安心して来てもらえるようになればうれしい」と話している。