九博で刀剣の基礎を学んできた 「刀剣ことはじめ」展
九州国立博物館(福岡県太宰府市)で、刀剣をテーマにした特集展示「刀剣ことはじめ 刀剣ワールド財団と九博の名刀」が開かれています。2月24日までの開催です。会場に足を運び、見所を取材してきました。
刀剣ワールド財団と九博の15点を展示
今回の展示では、一般財団法人「刀剣ワールド財団」(名古屋市中区)が持つ9点と、九州国立博物館が所蔵する6点の計15点を見ることができます。中には国宝や重要文化財といった、貴重な品もあります。
刀剣ワールド財団は、アパートや賃貸マンションの建設・仲介を行う「東建コーポレーション」がつくった財団です。刀剣の収集家でもある左右田稔・社長兼会長や会社の400点を超えるコレクションを管理しているそうです。財団では、刀剣や甲冑などについて学べるウェブサイト「バーチャル刀剣博物館 刀剣ワールド」を運営しています。2020年6月には、名古屋市中区に「名古屋刀剣博物館 名古屋刀剣ワールド」が開館する予定です。
国宝から本塁打王の寄贈品まで
会場を案内してくれたのは、研究員の望月規史さん。九州国立博物館で刀剣をテーマにした展示が行われるのは、2005年の開館以来2回目だそうです。「博物館の刀剣の所蔵品が増えてきたので、そのお披露目も兼ねて初心者にも分かりやすい展示にしました」とのことです。
会場を見渡すと、刀身の「刃文」によって陳列場所が分かれています。刃文がまっすぐな「直刃(すぐは)」が並ぶ一画と、さまざまな模様がある「乱刃(みだれば)」のコーナーがあります。
最初に目に入るのは、望月さんオススメの「太刀 銘国行」です。細身の刀身から気品と美しさが漂います。
展示品の解説パネルの隣には、一言解説が添えられています。なるほど、初心者向けの工夫がなされていますね。
世界のホームラン王・王貞治氏から寄贈を受けた刀を見つけました。
記者「ま、まさか、練習に使っていたという例の刀ですか?」
望月「いいえ、違います」
記者「…」
望月「なんでも、精神を落ち着けるときなどに使っていたそうです」
国宝「刀 無銘則房」は、誰が使っていたのか分かっていませんが、その美しさだけで国宝になったという一品です。
刀剣製作の「いろは」を知る展示も
初心者の関心をひきつけるコーナーはほかにもあります。
刀剣の工程を紹介する展示では、研ぎ師が刀を美しく仕上げる流れが分かります。研ぎ師は段階に応じて10種類以上の砥石を使い分けるそうで、熟練していない人が扱うと刃文が消えてしまうこともあるそうです。刀鍛冶が注目されがちですが、その美しさを支えているのは研ぎ師であることを知りました。
刀の用語に関するパネルの説明も丁寧です。外国人にも理解してもらおうと、英語や中国語、韓国語でも表記されています。
会場の展示品は、全て撮影可能ということです。
イベント名 | 刀剣ことはじめ 刀剣ワールド財団と九博の名刀 |
---|---|
開催日 | 2020年1月1日(水)~2月24日(月) |
開催場所 | 九州国立博物館(福岡県太宰府市石坂4-7-2) |
開催時間 | 9:30~17:00(入館は16:30まで) ※金曜、土曜は20:00まで開館(入館は19:30まで) |
料金 | 大人:430円 大学生:130円 高校生以下・70歳以上:無料 |
公式サイト | https://www.kyuhaku.jp/exhibition/exhibition_pre163.html |