信号メーカーのクリスマスイルミ 大牟田を照らす確かな灯り

「信号電材」のクリスマスイルミネーション

記事 INDEX

  • ホワイトクリスマスを演出
  • 使う人を思って半世紀以上
  • 安心して前に進めるように

 日が沈むと、高さ15メートルほどのツリーに灯(あか)りがつき、レンガ造りの建物にプロジェクションマッピングで雪の結晶が映し出されました。ここは福岡県大牟田市にある国内有数の信号機メーカー「信号電材」の本社工場。地域の人たちに楽しんでほしいと、クリスマスシーズン限定で開放し、22時までライトアップしています。

ホワイトクリスマスを演出

 イルミネーションは、同市で行われている光のイベント「オームタ☆イルミナーレ2024」の一環です。信号電材の本社工場では日没後、LEDによる電飾が一斉に点灯。18時頃から雪の結晶を本社壁面に投影し、“ホワイトクリスマス”を演出します。光が当たった壁は、凹凸のあるレンガの陰影が浮かび、長い歴史を感じさせます。同社のイルミネーションは12月25日まで楽しめます。


18時過ぎになるとレンガの壁に雪の結晶が映し出される

 本社は変電所として1909年に建てられ、国の有形文化財に登録されています。三池炭鉱で石炭などを運んだ三川電鉄の施設でしたが、閉山後に別の会社が買い取って事務所として使っていました。その後、信号電材が譲り受け、外観はそのままに、内部をモダンなデザインの本社オフィスへと2019年にリノベーションしました。


レトロでビンテージ感のある外観


 「貴重な文化財を残すために、オフィスとして使いながら維持管理していきます」と同社の東川望社長は話します。「大牟田で生まれた会社なので、地域のためにできることをやっていきたい」


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使う人を思って半世紀以上


本社内には様々な信号機などを展示している

 信号電材は1972年に大牟田市で創業。東京で信号工事会社に勤めていた糸永嶢(たかし)氏が帰郷し、配線ケーブルを収める箱の製造から、信号柱や信号機の生産へと事業を広げていきました。

 車を運転する人にも、歩行者にも見えやすい信号機の開発を進め、92年には太陽光が差してもまぶしくない信号をいち早く開発。LEDも他社に先駆けて採用しました。


本社に設置している信号のモニュメント

 価値のあるものを作り続ける――。信号機は長期間設置され、毎日稼働し続けます。「信号機が壊れたら事故につながります。晴れの日や雨の日、台風が来ても壊れないように、徹底的にこだわっています」と東川社長は話します。

安心して前に進めるように


歩行者信号の組み立てライン

 本社に隣接する工場を東川社長が案内してくれました。工場では1日に、信号機約400灯、信号柱約70本、ケーブルなどを収納するケース約160箱を製造します。

 信号灯のケースの表面処理や塗装、組み立てまで、工場では一貫生産が行われています。ラインでは従業員が手作業で製品を組み上げ、LEDの取り付けや配線などにミスがないか、そばで厳しい品質チェックが行われていました。

 通常は工場見学を受け入れています。繁忙期の12~2月頃にかけては中止しているそうで、再開時期はホームページで案内するとのことです。


2023年から会社を率いる東川社長。後方は昼夜常に点灯させている信号機

 見学は親子連れが多いそうで、「子どもたちが交通ルールを意識し、信号機に興味をもってくれたらうれしい」と東川社長。「人々が安心して前に進めるように支えるのが仕事です。ものづくりを通じて地元に貢献し、道路の安全を守っていきたい」



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