福岡市街地そだちのニホンミツバチがつくる希少なハチミツ「博多ハニー」

記事 INDEX

  • 古民家の庭でミツバチを飼育
  • ハチミツを博多ブランドに!
  • 都市緑化と地域おこしに期待

 福岡市博多区で女性養蜂家がニホンミツバチの飼育、採蜜に取り組んでいます。ニホンミツバチのハチミツは希少で、賛同する地元企業や個人と手を携え、博多ブランドに育てる構想も浮上しています。(記事:遠藤信葉 写真:貞末ヒトミ)


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古民家の庭でミツバチを飼育

 博多区住吉にある古民家の庭で10月9日に行われた採蜜の作業。防護服姿の吉田倫子(りんこ)さんが30センチ四方の巣箱の蓋を開け、木枠を持ち上げると、蜜がしたたりました。その様子を福岡市職員や大学教授、地元企業の社員らが見守りました。


 吉田さんの本業は輸入ネクタイやバッグの販売です。2017年、住吉神社に隣接する自宅敷地内で築100年を超える蔵造りの建物を店舗に改装する際、養蜂も営む大工に「ここはニホンミツバチの飼育に適している」と勧められました。

 街路樹や花壇の花々を蜜源とする「都市養蜂」。ミツバチの行動範囲とされる2キロ圏には、天神や博多駅があります。住吉神社境内の木々、主要道路沿いの街路樹といった蜜源に恵まれ、スズメバチなどの天敵がいないことも好条件だといいます。


 花を増やして街の魅力を高めようと、福岡市が2018年から展開する「一人一花運動」も蜜源の増加につながっているようです。現在、運動のスポンサーは142社、歩道や民有地などで花を育てているのは約600団体にのぼります。


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ハチミツを博多ブランドに!

 農林水産省によると、2018年のハチミツの国内流通量約4万7000トンのうち国産は6%にとどまります。国産の大部分は、蜜を多く集められるように品種改良された外来種セイヨウミツバチのもので、野生のニホンミツバチのハチミツはごくわずかです。



 吉田さんは2018年春以降、半年ごとに採蜜をして「博多ハニー」の名で販売してきました。季節ごとに微妙に異なる濃厚な味わいが特長だといいます。


 セイヨウミツバチに比べて飼育が難しいとされ、群れが巣箱に戻らないことも多いそう。今秋の収量量は20~25キロと見込まれ、吉田さんが営む「BELVISO」の店舗やウェブサイトで、100グラム入り2200円(税込み)で販売します。


 吉田さんは「博多ハニーを通じて生態系や環境にも関心を持ってほしい」と期待し、賛同企業などと連携して天然ハチミツを生産する構想を持っています。

 福岡市一人一花推進課の上原真之課長は「花で街の価値を高めるのが運動の狙いでしたが、養蜂は我々の想像を超えるもので、思いがけない副産物を生んでいます。連携の進め方を検討していきたい」と話しています。


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都市緑化と地域おこしに期待

 都市養蜂は、東京・銀座で2006年に始まった取り組みを機に札幌や大阪などに広がりました。セイヨウミツバチを飼育するケースが多く、福岡市・天神の百貨店「福岡三越」が屋上で行う養蜂も知られています。


 一般社団法人トウヨウミツバチ協会(東京)によると、現在少なくとも20のNPOや企業が、都市緑化や地域活性化につなげようと都市養蜂に取り組んでいます。洗濯物などに汚れがつくフン害の防止対策のほか、危険性を心配する近隣住民の理解が欠かせないそうです。


 協会で「養蜂インストラクター」を務める高安さやかさんは「ミツバチはこちらから危害を加えなければ、基本的には攻撃してきません」と説明。「料理店と連携して新商品を開発するなど、地域おこしにつながる例も多いです」と話しています。


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