原団地の幼稚園が始めたカフェ「はらの木」 多世代が集う場に

子どもからお年寄りまで幅広い世代の交流を目指すカフェ「はらの木」

記事 INDEX

  • 笑顔でカフェタイム
  • ここから広がる交流
  • 地域に根付く「木」に

 みんなが心地よく過ごせる場所に――。福岡市早良区の原団地にある学校法人大原幼稚園は6月15日、団地の中にコミュニティ・カフェ「はらの木」をオープンしました。幼稚園帰りの親子から団地で暮らすお年寄りまで、多世代の交流を目指します。

笑顔でカフェタイム


親子で一緒に過ごせる店内

 「木材を使い、温かみのある優しい空間を意識しました」。同法人でカフェを担当する森實(もりざね)あかりさんが店内を案内してくれました。

 カフェは、スーパーや日用品店などが営業する「原団地商店街」の一角に誕生しました。国道から少し入った静かな環境で、周囲にはブランコや滑り台のある公園が点在しています。


カフェの大きな窓に外の景色が映る

 営業は火曜から土曜の10~16時。白を基調にした店内には、木製のカウンターやテーブル、椅子が並びます。外がよく見える大きなガラスの窓と扉から、柔らかい光が店内に差し込みます。

 メニューは、地元のコーヒー店に焙煎(ばいせん)してもらったオリジナルの「はらの木ブレンド」(税込み430円)など。はらの木ブレンドは酸味や苦みを抑え、若い人からお年寄りまで飲みやすいクセのない味わいです。


店ではハンドドリップでコーヒーをいれる

 ほかに、深煎りアイスコーヒー(430円)、八女煎茶(380円)、オレンジジュースやリンゴジュース(各200円)、スイーツなどを用意しています。軽食は土鍋で米を炊いたおにぎり(150~220円)で、たらこ、さば、梅などの具材から選べます。おにぎり2個とみそ汁、煮卵などのセット(550円)もあります。


明るく温かみのある店内

 カフェは、団地の商店街から100メートルほど離れた場所で幼稚園を運営する同法人が、地域の子育て支援事業の一環として始めました。オープン初日は園の保護者参観があり、その帰りに立ち寄った親子連れで店はにぎわっていました。

 園に子どもを通わせる木下菜津美さんは「おしゃれな空間ですね。これから暑くなるので、子どもが公園で遊んだあと、ここで休憩したいです」と笑顔を見せました。


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ここから広がる交流

 原団地は第2次ベビーブーム前の1967年に建設が始まりました。鉄筋コンクリート5階建ての集合住宅が50棟以上あり、総世帯は約1800戸を数えます。


リノベーションなどが進む原団地。ほぼ満室という

 団地を管理するUR都市機構によると、長く住み続けている高齢者や小さな子どもを育てる若い夫婦など、幅広い世代が生活しているそうです。同機構はこれまで「多様な世代が生き生きと暮らせるまちづくり」を目指し、家族で敷地内を散策したり、健康増進について学んだりするイベントを企画してきました。


カフェのオープン初日、原団地商店街は大勢の家族連れでにぎわった

 孤立しがちな独り暮らし世帯への目配りも大きな課題です。機構で商店街のテナント管理などを担当する中野翔太さんは「家から出て周囲の人と交流してもらえる環境づくりをいつも考えています」と話し、「新しくできたカフェを中心に、いろんな人が集まってくれるとうれしい」と期待します。

 幼稚園側も地域とのつながりを深める方法を5年ほど前から検討していたそうです。商店街に空き店舗ができたことを知り、2023年にテナントの公募に手を挙げました。


団地内にある大原幼稚園

 森實さんの義母で、同法人の理事長を務める森實真沙子さんは「団地とともに歩んできた幼稚園として、地元のために何かできないかと考えていました。幼稚園は防犯の関係でオープンにできませんが、この場所なら幅広く活用できます」と話します。

地域に根付く「木」に

 カフェの名前「はらの木」には、枝葉を広げた樹木のように、地域に根付き、みんなが木陰でひと休みできるようにとの思いを込めました。


カフェの奥にはキッズスペースを用意

 店内には、子どもが遊べるキッズスペースのほか、赤ちゃんのおむつ替えや授乳ができる空間も確保しています。


園で先生をしていた森實あかりさん。保護者の声を取り入れ、おむつ替えは床でできるように


 カフェは、地域の人がギャラリーやレンタルスペースとしても使えるようにし、子育て講座や高齢者向けの体操教室といったイベントも企画していく考えです。


あかりさんは「交流が生まれて、もっともっと地元が元気になってほしい」と願う

 「気軽に立ち寄ってもらえる場に」とあかりさん。「悩んでいることや困っていることなど、みんなが落ち着いて何でも話せるカフェにしたい」と話します。



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