誰かを励ます存在に 庭いっぱい!病を機に集め始めたカエルたち
吉田さん宅の庭に並ぶカエルの置物
「よかったらどうぞ」――。福岡県直方市の自営業・吉田彰さん(73)が、趣味で集めたカエルの置物の寄贈先を探している。その数、1000点以上。指先にのる小さなものから背丈ほどあるものまで、自宅にはさまざまな置物が並び、"カエルの庭園"のような光景が広がっている。
「前向きな気持ちに」収集開始
集め始めたきっかけは、8年ほど前に患った原因不明の首の病。神社から譲り受けた小さな社を庭に建て、回復を願うようになった。そんな折、カエルが「よみがえる」「元に返る(健康に返る)」「無事に帰る」といった言葉に通じる縁起物だと知った。
「言葉遊びでもいい。少しでも前向きな気持ちになれたら」――。そう思い、社の周りに一つ、また一つ、カエルの置物を並べるようになった。増えていくカエルたちを眺めているうち、少しずつ気持ちが明るくなっていったという。
雑貨店や骨董(こっとう)品店などで、カエルの姿が目にとまると買い求め、収集はすっかり習慣に。小石原焼の窯元に頼み込み、特別に作ってもらったものもある。「こんなカエルが欲しい」と紙に描いて渡すと、快く応じてくれたといい、いまでも一番のお気に入りだ。
近所の人が譲ってくれたり、木材を使って自分で作ったり。陶器や石、金属など素材はさまざま、表情も違うカエルにはどれも、出会ったときの思い出が宿っている。
草の合間からひょいと顔をのぞかせるもの、木の枝にそっとつり下げられているもの。庭を歩けば小さな驚きがあり、次の一歩が少し楽しくなる。「そんなに急いで、どうするの?」「もう少し気楽にいきましょう」――。そんなささやきが聞こえてくる気がする。
必要としてくれる人がいれば
庭のカエルが増えるにつれ、吉田さんの胸には別の思いも芽生えてきた。大切に集めてきたカエルたちをこの先どうするか。もし、必要としてくれる人がどこかにいるなら、役立ててもらえないか――。児童養護施設などカエルをまとめて受け入れてくれる先があれば、ぜひ譲りたいと考えるようになった。
この冬、地元紙を通じて「引き取り手がいれば」と呼びかけたところ、いくつか反応があったそうだ。興味を持った人が訪れて、気に入ったものを持ち帰っていく。
病と向き合う吉田さんの日々に、静かに寄り添ってきたカエルたち。いつの日か別の場所で、まだ知らない誰かを励ます存在になるかもしれない。そんな思いを胸に、カエルたちが誰かのもとに"帰る"ときを気長に待っている。
問い合わせは吉田さん(090-3075-7590)へ。





































