商店街をにぎやかに! 毎月5日に登場する直方の「チンドン隊」

直方五日市を盛り上げる「チンドン隊」のメンバー

記事 INDEX

  • 商店街に元気な音色
  • チンドン屋をまねて
  • 笑顔で楽しみながら

 福岡県直方市のまちおこしグループ「直方を熱くする会」のメンバーらが、楽器を演奏しながら練り歩く「チンドン隊」を結成し、中心商店街で毎月5日に開かれる「五日市」に登場して買い物客らを喜ばせています。「街を元気づけたい」と有志3人で2020年に始めたところ、賛同する仲間が加わり、五日市の”名物”として定着しています。

商店街に元気な音色

 JR直方駅の周辺にある四つの商店街(古町、殿町、明治町、須崎町)は毎月、「直方五日市」を開催しています。アーケードには、いつも営業している店舗に加え、パンやスイーツ、弁当などを販売する露店も加わり、買い物客の姿も増えます。


毎月5日に開催される「直方五日市」


 チンドン隊は毎回、五日市が始まる午前10時に演奏を始め、太鼓や鉦(かね)を打ち鳴らしたり、ギターを弾いたりしながら30分ほどかけて商店街を練り歩きます。隊列を見かけた人たちは、スマートフォンで写真を撮ったり、手を振って声をかけたり、商店街に笑顔が広がります。


買い物客や商店主に声をかけられながら進むメンバー


 チンドン隊を始めたのは、直方を熱くする会の荒川彰さん(74)、川野文彦さん(77)、山積紘一さん(79)です。五日市で行う「まちなか演奏」では、荒川さんはギターを弾き、川野さんは民謡の裏方を務め、山積さんはサックスを担当しています。


「まちなか演奏」でギターを弾く荒川さん


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チンドン屋をまねて

 1959年から続く直方五日市。かつては近郊からの送迎バスが運行されるほどの盛況ぶりでしたが、にぎわいは徐々に薄れてきました。3人がチンドン隊を始めた2020年はコロナ禍のさなかで、商店街の人通りは減り、商店主らの気持ちも沈んでいました。


かつての直方五日市のにぎわい(1978年撮影、牛嶋会長提供)


 そんな時、川野さんがテレビで目にしたのがチンドン屋でした。「子どもの頃、直方の商店街にもチンドン屋が来ていたことを思い出しました」と振り返ります。


 直方郷土研究会の牛嶋英俊会長によると、資料や記録は残っていませんが、昭和40年代初めまで売り出しなどの宣伝で市内の商店街にチンドン屋が訪れていたそうです。


お手製のチンドン太鼓を抱えて演奏準備を進める川野さん


 「自分たちもチンドン屋のように五日市を盛り上げようや!」。もちろん経験はありませんが、3人は行動を起こしました。荒川さんがギター、川野さんが手製のチンドン太鼓、山積さんがサックスで、「上を向いて歩こう」「蒲田行進曲」などを演奏しながら商店街をまわると、買い物客らに喜ばれました。


笑顔で楽しみながら

 3人で始めたチンドン隊は、今では10人ほどに。60~70歳代の”ベテラン”ぞろいで、楽器とは無縁のメンバーもいます。加わって3年ほどになる舩津加代さん(66)は鍵盤(けんばん)ハーモニカなどを担当。「沿道から拍手を送られたり、声をかけてもらったりして、すっかりやみつきになりました。参加するのが毎回楽しみ」と笑顔です。


商店街を練り歩く「チンドン隊」


 9月5日の五日市には7人が集合。音合わせやリズム確認を行ったあと、商店街に繰り出しました。川野さんは自作のチンドン太鼓を胸の前で「ドンドン、チン」と打ち鳴らし、”変顔”のマスクを着用した荒川さんは愛嬌(あいきょう)を振りまきながらギターを奏でました。


出発前にリズムを合わせる舩津さん(左)と変顔マスクを着けた荒川さん


 「チンドン隊の演奏はブラスバンドとは違い、リズムや音が少々ずれても問題なし。隊列、足並みがそろっていない自由さも良いところ」と川野さん。メンバーたちはこれからも毎月5日に集まり、直方の中心商店街を盛り上げます。


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