「ばあちゃん喫茶」が春日市に開店 元気なお年寄りが大活躍!

笑顔が絶えない「ばあちゃん喫茶 春日ぶどうの庭店」

記事 INDEX

  • 手作りの味で笑顔!
  • 働くことが生きがい
  • 高齢者が輝ける場に

 元気な女性たちが切り盛りする喫茶店「ばあちゃん喫茶 春日ぶどうの庭店」が、福岡県春日市須玖北5にオープンしました。店は毎週土曜のランチ営業のみで、1日15食限定。素朴で懐かしい“家庭の味”を求めて近隣住民ら多くの人が訪れ、毎回完売するという人気ぶりです。

手作りの味で笑顔!


日田さんお手製のかしわご飯

 3月31日に開店した喫茶は、春日まちづくり支援センター「ぶどうの庭」のシェアキッチンを借りて定食を提供しています。ここで働くのは、近くに住む高久保瑞子さん(85)と日田美智子さん(71)。2人は週替わりで“店長”を務め、メニューを考えて、買い出しから調理まで行います。

 記者が取材に訪れた4月12日の献立は、かしわご飯とタマネギのピカタ、エリンギと小松菜のオイスター炒め、にゅうめんなどのセットでした。

 キッチンで腕をふるう日田さんは「私が子どもの頃に好きだった、母の思い出の料理を作りました」と笑顔を見せました。


重箱には、ピカタや炒め物などの総菜も

 店では定食(税込み950円)のほか、コーヒーや紅茶(各400円)も楽しめます。営業時間は11時30分から15時まで。原則予約制で、日時と人数をLINEで伝えます。


「お客さんが来てくれるか不安だった」と話す高久保さん。第1、第3土曜に店長を務める

 高久保さんは「『おいしい』と言ってくれると何よりもうれしい。次は何を作ろうか、5月はちまきにしようかな」と話します。


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働くことが生きがい

 ばあちゃん喫茶は、高齢者の就労支援に取り組んでいる会社「うきはの宝」(福岡県うきは市)が運営しています。高久保さんと日田さんには店長の業務を委託する形で、同社はキッチンのレンタル代、食材や販促費などを負担し、必要経費を差し引いた収益の25%を2人に支払う仕組みです。


春日まちづくり支援センター「ぶどうの庭」のレンタルスペースで営業

 同社の大熊充社長は「ばあちゃんたちが働ける場所をつくり、社会からの孤立を防ぐ。誰かに必要とされるからこそ、働きがいと生きがいを感じられる」と言います。

 うきはの宝は2019年に創業。うきは市浮羽町の妹川地区で75歳以上の約10人を雇い、サポートする若手スタッフを含む20人ほどで食品製造などを行うほか、生き生きと暮らすお年寄りの話題をお年寄りに届ける「ばあちゃん新聞」を発行しています。

 大熊さんによると、自治体や介護事業者などから「飲食を中心にして、高齢者のコミュニティーをつくれないか」と多数の相談が寄せられていたそうです。高齢者が輝ける場所をほかの地域にも広げたいと考え、ばあちゃん喫茶を企画しました。


ばあちゃんに会いたくて来店する人も

 「たくさんの人が喫茶を訪ねてくれて、ばあちゃんたちの居場所につながればいいな」と大熊さんは話します。

高齢者が輝ける場に

 専業主婦だった高久保さんと日田さんは、支援センターの担当者の紹介で大熊さんと知り合い、店長の仕事を快諾しました。

 日田さんは「子どもが巣立ってしまうと、手の込んだ料理をしなくなりました。70歳を過ぎて新たなチャレンジをさせてもらっています」と語ります。


キッチンでテキパキと調理する日田さん

 店ではこれまで、サバのみそ煮と肉じゃがの定食、ちらしずしやがめ煮などを提供してきました。支援センターの白糸林太郎理事長は「料理を楽しみに地域の人が集まる場になり、まちのにぎわいにもつながっている」と期待しています。

 5月1日には福岡市城南区、9日には同市早良区に、ばあちゃん喫茶の新店舗がオープンする予定です。大熊さんは「介護を受けていたり、認知症だったりしても、役割があれば輝ける」と言います。「元気なばあちゃん、そしてじいちゃんも、働ける場所があれば、みんなもっともっと元気になるはず」


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