あこがれが目の前に!春日市の公園にできた「新幹線の見える丘」

「新幹線の見える丘」にあるドクターイエローを模したベンチ。子どもに大人気

記事 INDEX

  • ドクターイエロー公園 !?
  • 車両基地が模型のように
  • 弥生の"歴史"が眠る場所

 福岡県春日市の春日西多目的広場公園に今春、新しい展望施設「新幹線の見える丘」が整備された。目の前には、国内最大級の新幹線車両基地であるJR西日本の博多総合車両所が広がる。これほど大規模な車両基地を一望できる公園は全国的にも珍しく、鉄道ファンはもちろん、子どもが夢中になれる場として人気を集めている。

ドクターイエロー公園 !?


上空から捉えた施設全体のイメージ=春日市提供


 この個性的な施設は、早くも別の呼び名で親しまれるようになった。「ドクターイエロー公園」。ネット上の地図検索でも、その名で表示されることがある。どういうことなのか――、現地を訪ねてみると、すぐに合点がいった。


ドクターイエロー形の花壇や、線路を模した歩道が整備された


 まず目を引くのは、施設全体の造形。全長約140メートル、幅約5メートルの細長い敷地は、ドクターイエローの黄色い車体を大地に写し取ったかのようだ。駅名標を掲げた入り口は改札風のデザインで、線路の模様に塗装した歩道や、全長57メートルの新幹線形の花壇が続く。「上空からも分かるように」と黄色いパンジーが植えられ、遊び心あふれる空間になっている。


施設全体の雰囲気がドクターイエローそのもの


 モチーフとなったドクターイエローの正式名称は「新幹線電気軌道総合試験車」。線路や架線の状態を点検する"新幹線のお医者さん"として知られ、鮮やかな車体と非公表の運行ダイヤから、「見ると幸せが訪れる」ともいわれてきた。1編成のみとなった現役車両は、早ければ2027年にも引退する可能性があるという。


車両基地が模型のように

 「あっ! レールスターだ!!」。近くで元気な声が響いた。新幹線をデザインしたヘルメットやTシャツを身に着けた3歳の男の子を、福岡市南区から訪れた橘川詩織さん(29)がやさしく見守っていた。


「あっ! レールスターだ!!」


 SNSで展望施設の誕生を知り、新幹線が大好きな息子を連れて来たそうだ。「実はここにも」と橘川さんが言うと、男の子は靴を脱いで、ドクターイエローの柄があしらわれた靴下を誇らしげに見せてくれた。


自分で選んだという靴下を見せてくれた


 展望台へ続く階段を上ると視界は一気に開ける。先頭をそろえた新幹線の車両が整然と並ぶ光景は壮観だ。まるで巨大な模型を見下ろしているかのようで、鉄道に詳しくなくとも思わず見入ってしまう迫力がある。


博多総合車両所にずらりと並ぶ新幹線の車両


 地元の自治会長を務めていた吉川寿勝さん(73)は「以前は、路上に車を止めて車両基地を見物したり、撮影したりする人もいて危険だった」と振り返る。公園整備に合わせて駐車場が設けられ、安全に楽しめる環境が整った。


安全に楽しめる環境が整えられた


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弥生の"歴史"が眠る場所

 この場所には、もうひとつの"時間の層"が存在する。1975年の発掘調査で、弥生時代の墳墓など200基を超える大規模な墓地群が見つかった。北側には大きな集落も広がっていたという。春日市は「原遺跡」として保全してきたが、公園の整備が進んだことで、より多くの人が地域の歴史に触れる機会が増えた。


弥生時代の大規模な墓地群も確認されている


 展望台に立つと、車両基地の先にマンションなどの新しい街並みが広がる。市によると、こうした建物がなければ、玄界灘まで望めた可能性もあるという。はるか昔、この地で暮らした人々は、遠くに海を感じながら日々の営みを重ねていたのかもしれない。


広場全体が新幹線をモチーフにデザインされている


 未来を開く象徴のような新幹線の車列を、古代の人がもし目にしたなら、どんな思いを抱いただろう。そんな想像に心を遊ばせるひとときも、この場所ならではの楽しみなのかもしれない。


子どもたちの歓声が響いていた



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