片手で気軽、彩り鮮やか 個性派「おにぎり」が続々登場
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記事 INDEX
- テイクアウトで注目!
- 広がるバリエーション
- 大学生も専門店を開業
日本人のソウルフード「おにぎり」が多彩になった。コロナ禍を背景に、テイクアウト(持ち帰り)に便利なサイズや片手で食べられる気軽さが注目され、変わり種も次々に登場している。
テイクアウトで注目!
JR博多駅構内に昨年2月にオープンした持ち帰り専門店「糸島おむすび ふちがみ」は、カラフルなおにぎりを並べる。真っ黒はイカ墨、ピンクは西洋野菜ビーツの色だ。
福岡市内でイタリア料理店を運営する会社「フチガミ」が出店し、オーナーシェフの渕上兼督(けんとく)さん(46)が監修した。コメは福岡県糸島市・千早新田産を使用。定番はイカ墨や鯛(たい)めしなど11種類で、イタリア・シチリア島産の塩で味付けした塩むすびも人気だ。月替わりもあって、今月は抹茶入りを出している。150~240円。
出店のきっかけは、新型コロナウイルスの感染拡大だった。外出自粛が続いて料理店への来客が減る中、「家で気軽に楽しめる料理」として着目した。昨夏に福岡空港にも2号店を出し、多い日は計約1000個売れるという。
個性派おにぎりは相次いで登場している。今年3月に春日市にオープンした「おむすび舎(や)」は各地の味が楽しめる「九州シリーズ」を展開中で、現在は3種類を販売。<福岡>は「焼明太シソ」(220円)、<長崎>は「雲仙ハム」(330円)で、<佐賀>の「シシリアン」(同)はご当地グルメ・シシリアンライスにちなんだ甘辛く煮た牛肉が入る。店主の中村梓さん(38)は「ほかの県も開発中です」と意気込む。
広がるバリエーション
沖縄県民に人気の「ポークたまごおにぎり」の専門店「ポーたま」(本社・那覇市)も福岡市内に2店出店した。ポークランチョンミートと卵焼きをはさむのが沖縄の定番だが、福岡赤坂店(中央区)では「ごぼう天」(600円)や「炙(あぶ)り明太子」(850円)を挟んだ福岡限定味も提供して、県民にアピールする。
福岡県内で27店舗を展開する弁当店チェーン「ヒライ」(本社・熊本市西区)が販売するユニークおにぎりは「片手でのり弁」(205円)。1個の中に、白身魚フライやキンピラゴボウなど、のり弁でおなじみの具材5種類が入り、一般社団法人全国スーパーマーケット協会主催の「お弁当・お惣菜(そうざい)大賞2020」のり弁部門で優秀賞を受賞した。
一般社団法人おにぎり協会(神奈川県鎌倉市)の代表理事、中村祐介さん(46)によると、コロナ禍以降におにぎり専門店の出店が相次ぎ、バリエーションも豊かになった。中村さんは「新しいもの好きの土地柄だからか、福岡には創造的なおにぎりが多い。今後も面白い商品が登場しそう」と期待を寄せる。
大学生も専門店を開業
北九州市立大3年の猪俣日々希さん(20)は4月、同市小倉北区に「おにぎりとみそしる。」を開業した。出店したのは「朝食をちゃんと食べてほしい」との思いからで、営業時間は朝6時から午後2時。メニューは「おかか」「ごまこんぶ」などおにぎり6種類(200~300円)とみそ汁(250円)、たくあんなどを加えたセットのみだ。
猪俣さんは大学で地域創生を専攻しており、開業に向けて学業の傍らバイト代をため、「食品衛生責任者」の資格も取得した。授業が多い火曜と木曜は休業。「店が地域の活性化につながればうれしい」とほほえむ。
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