何が出るかな? 進化を続ける「ガチャガチャ」のワクワク感に大人も夢中

「陶器でガチャ」で当たった小皿を手にする男性

記事 INDEX

  • 500円で「陶器ガチャ」
  • 肉の詰め合わせも登場!
  • おもちゃ以外にも広がり

 硬貨を入れてハンドルを回すと商品が出てくる装置、通称「ガチャガチャ」。何が当たるかわからないワクワク感が、子どもだけでなく、大人の心もつかんでいる。

500円で「陶器ガチャ」

 福岡県東峰村で小石原焼と高取焼を展示販売する「つづみの里陶器ギャラリー」には「陶器ガチャ」がある。1回500円で、ハンドルを回すと紙が入ったカプセルが出てくる。紙に書かれた番号に応じて村内7窯元で焼かれた皿や湯飲み、茶わんなどがもらえる仕組みだ。


「陶器ガチャ」で当たる商品の例を紹介する小野さん


 店長の小野豊徳さんや窯元の作家らが数年前、「焼き物になじみのない人にも楽しんでほしい」と考案。陶器は20種類で通常500~4000円ほどで販売され、非売品もある。週に100回ほど利用され、今月、観光で訪れた北九州市の会社員、武富安彦さん(35)は2回挑戦し、白と青の小皿を入手。「大皿を狙っていたが、これもガチャの醍醐(だいご)味」とほほ笑んだ。


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肉の詰め合わせも登場!

 八女市で焼き肉店など4店を経営する「やま奇人」は6月、店の敷地に1回2000円の「肉ガチャ」を設置した。出てくる商品は200グラム前後の肉セットで、カルビや牛タン、黒豚ウィンナーなど10種類から4種類ほどを選んだ詰め合わせ。2000~4000円相当という。


「肉ガチャ」の商品を手にする山本さん

 同社社長の山本典由さん(56)によると、緊急事態宣言中に飲食店の売り上げが例年の約4割に落ち込む中で考案した。来店にもつなげようと、店で使える1000~3000円の飲食券もつけ、2か月弱で600食を売り上げた。

 朝倉市にある大分自動車道山田サービスエリア下り線に設置された「旅っチャ」は、1回500円で、大分県佐伯市で使えるチケット1~3枚が当たる。同市内の寿司(すし)店8店で使用でき、1枚で握り5貫(1500円相当)を楽しめる。設置は10月末までで、なくなり次第終了する。

おもちゃ以外にも広がり


 大日本印刷などが運営するオンライン書店「honto」は「本のガチャ」を21日まで販売している。書店員お薦めの文庫本を届ける仕組みで、「短編・SF」「長編・ヒューマンドラマ」などテーマ別に購入でき、価格は400~1000円程度。

 一般社団法人日本ガチャガチャ協会(東京)によるとガチャガチャはアメリカで1880年頃に誕生し、当初は菓子を販売していたが、1940年代からカプセルトイ(おもちゃ)が登場した。日本には65年に上陸し、数年前からおもちゃ以外も販売されるように。同協会の小野尾勝彦代表理事は「ワクワク感に着目し、多様な業界で販促に生かす例が増えている」と話す。

手に入れにくさも魅力

 福岡市のアミューズメント施設などの運営会社「ルルアーク」は、全国にカプセルトイの専門店「ガチャガチャの森」を65店展開している。同社の松井一平さん(48)によると、かつては子ども向けのおもちゃが中心だったが、2015年頃から主なターゲットを「大人女子」に変えた。実際に氷が削れるミニチュアかき氷器や、焼き鳥をモチーフにした指輪など、精巧さや遊び心のあるグッズが人気という。


ららぽーと福岡にある「ガチャガチャの森」

 ほとんどの商品の生産が1度限りで終了し、毎月商品の半数が入れ替わるそうだ。松井さんは「手に入れにくさもガチャガチャの魅力の一つ。大人にこそ楽しんでほしい娯楽です」と話す。

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