小さな自然を再現 自宅の癒し空間「テラリウム」が人気
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記事 INDEX
- 家に"ジャングル"
- コロナ禍で広がる
- 育てる楽しみ様々
透明な容器の中で植物を育てる「テラリウム」の人気が広がっている。ミニチュアサイズで自然が再現され、日々変化していく様子を眺める楽しさもある。
家に"ジャングル"
北九州市の遊漁船船長、岩本博行さん(57)は、自宅に2台のガラスケージ(幅60センチ、高さ45センチ)を置いている。内部はコケに覆われ、シダやツタ植物がひしめき合う。小さな「池」も設けられ、中南米に生息する水色の「ヤドクガエル」が跳び回る様子は、まるで小さなジャングルだ。
テラリウムはラテン語で「大地」を意味する「テラ」と「空間」の「アリウム」を合わせた言葉とされる。テラリウムの中でも熱帯雨林の自然を再現したものは、「湿地」を意味する「パルス」から「パルダリウム」と呼ばれる。
岩本さんは本で見たパルダリウムに魅了され、今年6月、福津市の専門店「Heat Wave(ヒート・ウェーブ)」で材料を購入。同店代表の古賀篤さん(56)にケージを1台作ってもらい、製作方法や育て方を教わった。自分でもイメージ図を描いてレイアウトを考え、約20種の植物とカエル5匹を入れたケージを作り上げた。
1日2回霧吹きで湿らせ、7時間ほどLEDライトで光を当てる。植物が芽を出し、つるを伸ばして、日に日に風景が作られていくという。岩本さんは「毎日変化があり、ずっと見ていても飽きません」と魅力を語る。
コロナ禍で広がる
古賀さんによると、コロナ禍で自宅で過ごす時間が増えて熱帯植物の人気が高まる中、栽培するだけでなく、現地に思いをはせ、自生地の環境のように育てて楽しむ人も増えている。2011年の東日本大震災以降、水槽で熱帯魚などを育てていた人が地震発生時の被害を心配して転向するケースもあるそうだ。
店では、珍しい熱帯植物や専用のケージ、ピンセットなどの道具、飾り用の流木、石、カエルなどを販売。小さいもので1セット1万円ほどからそろう。古賀さんは「植物の種類に応じて光や湿度、温度に気を配る必要がありますが、植物本来の姿や美しい景観が楽しめます」と話す。
育てる楽しみ様々
テラリウムには、ほかにも様々なスタイルがある。
水と陸の動植物を同時に育てる方法は「アクアテラリウム」と呼ばれ、メダカや金魚、熱帯魚といった生き物と、水草やシダ、水耕栽培できる観葉植物などを一緒に楽しむのが一般的だ。
福岡市の「アクア&プランツショップHORIZON(ホライゾン)」の店主の蒔田祐さん(37)によると、魚の排せつ物が植物の肥料になり、植物が水を浄化する効果もある。同店では店オリジナルの水槽(4378円から)も販売。水槽の上に植物を設置することで魚に酸素が供給されてポンプなしで飼育でき、蒔田さんは「自然の力を感じることができます」と勧める。
手のひらサイズのガラス容器でコケやキノコを育てる「苔(こけ)テラリウム」や「きのこリウム」もある。
苔テラリウムは関東などに専門店も登場し、人気に着目して島根県江津市などコケを特産品として売り出す自治体もある。鹿児島県屋久島町の土産物店「ぷかり堂」は屋久島の森をイメージした苔テラリウムを販売し、同町のふるさと納税の返礼品にもなっている。
きのこリウムは、大阪府のウェブ制作者、樋口和智さんが2015年からSNSなどで発信。18年から、きのこリウムが作れるキットのネット販売も行っている。
テラリウムの作り方を紹介した動画はこちら ↓↓
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