進化する「冷凍食品」 本格的な味を好きな時に!
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- 自販機12台で24時間営業
- パスタ、パン、海鮮丼も!
- 家庭用出荷量は最高更新
手軽に食べられる冷凍食品はコロナ禍で需要が伸び、種類が続々と増えている。店で出されるような本格的な料理や、意外なメニューも登場している。
自販機12台で24時間営業
福岡県宇美町に昨年11月、冷凍食品専門店「マイホームキッチン」がオープンした。24時間営業の自動販売機12台が並び、総菜やスイーツ約150種類を販売している。
酢豚、エビドリア、サムゲタンなどレストランのような品ぞろえで、焼き魚はサケ、ブリ、サワラ、ホッケなどがあり、塩焼き、みりん焼き、西京焼きといった調理法が選べる。パックごと解凍する弁当は「ハンバーグと焼売(しゅうまい)弁当」など約10種類。一番人気は300円の大学芋だ。
買い物をしていた須恵町の高浜徹さん(53)と弥生さん(54)の夫婦は「24時間いつでも購入できるのは便利。色々選べるのがいい」と笑顔で話した。
店を運営するのは障害者就労支援施設などを運営する福岡市の一般社団法人「社会福祉支援協会」。商品は障害者が働く工場で製造し、国産食材のみを使って無添加で手作りしているという。
法人代表の島野広紀さん(50)は「冷凍技術の向上で驚くほどおいしさが保たれるようになった。将来性があり、障害者の雇用につながる」と力を込める。
パスタ、パン、海鮮丼も!
福岡県内ではこだわりの冷凍食品が次々に発売されている。
柳川市の水産卸会社「柳川冷凍食品」が2019年10月に発売した冷凍パスタ「魚屋がパスタ」シリーズは平麺の生パスタに大ぶりなシーフードが入り、累計250万食を突破した。
加熱時に味が全体に行き渡るよう具材にだしを吹き付けてから冷凍するなど加工方法も工夫している。同社加工製品販売課長の釜綾さん(28)は「夕食のメインになる本格的な味と具材感です」と胸を張る。
志免町には昨年9月、冷凍パン専門店「パン・デマンド」がオープンした。独自の急速冷凍製法で一番おいしい状態を保ち、角食パン(1斤490円から)、あんバター(260円)、あんホイップ(同)など約30種類ある。
ネット通販などでも購入でき、店を運営する「博多製麺処」(大野城市)のベーカリー部門事業責任者田中洋一郎さん(51)は「好きな時に解凍して旬の風味を楽しめ、フードロス削減にもつながります」と話す。
昨年7月に創業した福岡市の冷凍食品販売会社「KANAME」は、海鮮丼の具を販売。ネット通販のほか福岡市地下鉄博多駅などに自販機も設置し、「特選8種の海鮮丼」「特選サーモン丼」「特選クロマグロ丼」(1800~2200円)などをそろえる。
タイやカンパチなどは地元鮮魚市場で仕入れ、クロマグロは鹿児島・奄美大島産を使用。具材は流水で解凍し、ご飯に盛りつけて食べる。
家庭用出荷量は最高更新
日本冷凍食品協会(東京)の調査によると、冷凍食品はかつては業務用が中心だったが、2020年に家庭用の出荷額が業務用を逆転。21年の家庭用の国内工場出荷量は前年比3.6%増の79万8667トンで、過去最高を更新した。
増加に一役買うのが、21年1月発売の冷凍自販機「ど冷えもん」(サンデン・リテールシステム)だ。冷気を循環させるファンを改良して常時マイナス20~25度に保ち、夏でも電気代を月8000円程度に抑えた。全国に4000台以上(7月末)が設置され、スマホアプリ「ど冷えもんGO」で設置場所を探せる。
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