中村調理製菓専門学校生が運営する福岡の本格ケーキ店が人気

注文に応じてケーキを取り分ける学生たち

記事 INDEX

  • 丹精込めて製造と接客
  • 味も形も確かなお菓子
  • 和洋中のレストランも

 福岡市中央区平尾の中村調理製菓専門学校1階にあるケーキショップ「プランタン」が人気です。月に数日だけ営業する店舗は学生主体で運営しています。製造から販売まで一連の流れに加え、収支管理や衛生管理、接客などを学ぶことが狙いですが、商品は味も見た目も本格的で開店前から行列ができる日もあるほどです。

丹精込めて製造と接客

 ケーキショップ「プランタン」は2009年にオープン。フランス語で「春」を意味する店名は、同専門学校の前身「中村割烹女学院」を創設した中村ハル氏にちなんで付けられました。

 店では、製菓技術科の2年生が5月下旬から1月(夏休み期間は除く)にかけて実習販売に取り組みます。製菓教員の大賀朋子さんは「学生たちがお菓子作りに真剣に向き合う場になっています。実践に近い学習なので、ステップアップが期待できます」と説明します。


専門学校の1階にある「プランタン」

 営業日には、学生たちが校内の実習室で朝9時30分から仕込みを始めます。13時30分の開店に間に合うように、オーブンで菓子を焼き、スポンジケーキに生クリームを塗ったり、フルーツをカットして飾り付けたり、手分けして作業を進めます。


仕込みを行う学生たち

 店頭に並ぶのは、教員の厳しいチェックを通ったお菓子だけ。学生の原野蓮叶(れんと)さんは「自分たちが作ったお菓子が店に並び、お客さんに買ってもらえると達成感があります。毎回楽しみに来てくれる人もいるので、良い物を届けていきたい」と話します。


教員(右)が出来栄えを確認

 店舗での接客も学生たちがすべて担当します。チラシや商品ポップは授業で学んだことをいかして制作。注文に応じてケーキや焼き菓子の包装も行います。


学生たちが制作したチラシ


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味も形も確かなお菓子

 店内には、ホールケーキ(2000~3200円)やロールケーキ(1000円)、生菓子(200~450円)、焼き菓子(100~250円)が並びます。人気商品は純生ロールやショートケーキ。純生ロールは蜂蜜入りのふわふわ生地が自慢、ショートケーキはイチゴと生クリームをたっぷり使った定番です。メニューは季節に合わせて変更し、12月には学生考案のオリジナルケーキも登場します。


店頭に並ぶ焼き菓子

 学習の一環とはいえ、厳選した食材の使用にこだわっています。価格に人件費が含まれないため、厳選食材で作った菓子を手頃な値段で提供できる点が強みです。

 常連客や開店前から並んでくれる人たちの姿が、「喜んでもらえるものを」という学生たちの励みになっています。また、来店した卒業生が在学当時を懐かしんだり、後輩たちの頑張りに刺激を受けたりすることもあるそうです。


生菓子をショーケースに入れて開店準備

 河村妃菜希(ひなき)さんは「製造側からの目線と、購入者側からの目線が重要になるのでとても勉強になります。お菓子を楽しみに買いに来てくれるので、接客では明るく笑顔を心がけています」と語ります。

 営業時間は13時30分~15時30分で、売り切れ次第終了です。営業日は学校のホームページ内で告知しています。

和洋中のレストランも

 プランタンでは、調理師科の学生たちが和洋中の料理を提供するレストランも運営しています。調理師科2年の学生たちが料理長やマネジャーなどを務めます。


レストランで提供されるメニューのイメージ(中村調理製菓専門学校提供)

 メニューは営業日によって異なり、和洋中いずれの料理も2000円ランチ(コース)と1200円ランチがあります。レストランもケーキショップと同様に、素材と味にこだわった料理が好評だそうです。


中村調理製菓専門学校
 1949年開校。戦後間もなく「食糧が少なくてもおいしく、栄養のある料理を作れる人材を育てよう」と開校した中村割烹女学院が始まりで、調理師・パティシエ養成校の草分け。卒業生は1万5000人を超え、ミシュランシェフも輩出している。製菓は、日本最大級の洋菓子コンテスト「ジャパンケーキショー」の受賞者を出すなど高い評価を得ている。


校舎の外観(中村調理製菓専門学校提供)


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