築城当時の小倉城の魅力を発信しようと、北九州市は小倉城の歴史的価値に焦点を当てた漫画「本当はすごい!真説 小倉城」を制作した。現在は目にすることができない天守の姿や城下町を囲んだ堀や石垣について親しみやすいストーリーで解説しており、小倉城のウェブサイトで公開している。
1602年(慶長7年)に細川忠興による築城が始まった小倉城の天守は、1階から最上階の5階まで四角い箱を積み上げたような簡素な外観の「層塔型」だったとされ、1837年(天保8年)に火災で焼失した。
1959年に戦後復興のシンボルとして鉄筋コンクリート造りで建設された現在の天守は、見栄えを重視して屋根に山形の飾りの「破風(はふ)」を取り付けているなど江戸時代の外観とは大きく異なる。市は遺構も少なく、市民にも小倉城の歴史が十分に伝わっていないとして漫画制作を企画した。
漫画は県内在住の漫画家タネオマコトさん原作、ノノモリさん作画で、三浦正幸・広島大名誉教授らが監修した。
小中学生のきょうだいが江戸時代にタイムスリップし、小倉の街を探索しながら城の魅力に触れるストーリーで、天守1階の床面積が全国の城で4番目に大きく、海に面した「海城」だったことなどを紹介。城下町を堀や石垣で囲む「総構え」の外周が約8キロに及んだことを説明している。
市観光課は「北九州にも全国屈指の立派な城があったことを知り、市民には素晴らしい歴史に誇りを持ってほしい」としている。