台風10号、福岡県内は30日も「引き続き厳重な警戒」を

 台風10号が九州北部に接近した8月29日、福岡県内も強い風や雨に見舞われた。県のまとめでは、重傷を含め男女3人が負傷し、多くの人が避難所に身を寄せた。公共交通機関も順次、運休した。県内は30日も暴風や線状降水帯の発生が予測されており、気象台が警戒を呼びかけている。

暴風や線状降水帯の発生も

 気象庁によると、27日の降り始めからの雨量は、29日午後2時現在、添田町254.5ミリ、大牟田市171ミリ、福岡市早良区168.5ミリなど。宗像市では同日昼過ぎ、26メートルの最大瞬間風速を観測した。

 福岡管区気象台九州地方整備局は29日、台風10号に関する記者会見を合同で開いた。気象台によると、県内は30日朝まで暴風域にかかる見通しで、同日夕方にかけて、最大で1時間雨量60ミリの非常に激しい雨が予想されるという。

 県内では30日日中にかけて線状降水帯の発生も予測されており、気象台の担当者は「台風を取り巻く厚い雲がかかり、長い時間雨が降り続く。引き続き厳重な警戒が必要」と話した。

糸島・行橋で計3人が負傷

 県の午後2時時点のまとめでは、糸島市で男性(60歳代)が建物の屋根から転落して頭に重傷を負った。行橋市でも、女性(68)と男性(79)がいずれも屋外で風にあおられて転倒し、頭や足を負傷した。

 避難所は全60市町村で開設され、自主避難を含めて計約5100人が身を寄せている。県は29日、36市町に対する災害救助法の適用を決定し、自治体の避難所開設費を負担することを決めた。

30日始発から運転見合わせ

 公共交通機関も順次運休した。JR博多駅では、29日午後1時過ぎに在来線の運行を終了。同20分頃には在来線改札口のシャッターが下り、その後に訪れた駅利用者の中には運休の貼り紙を見て驚く人もいた。

 西日本鉄道も同日午前9時以降、電車の全路線で順次運休した。30日も始発から運転を見合わせるという。

 福岡市交通局は29日、市地下鉄全線で午後9時以降の運転を取りやめると発表した。30日は全線で始発から運転を見合わせる。災害発生前の計画運休は、2022年9月の台風以来3度目という。

 県は29日、県庁で災害対策本部会議を開き、幹部らが被害状況や今後の対応を確認した。服部誠太郎知事は「生命財産を守るため、ためらわずに迅速、的確な判断をしてほしい」と幹部らに訓示した。


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