経営難が続く「平成筑豊鉄道」(福岡県福智町)を支援しようと、福岡県立田川高校の卒業生でつくる「岳陽同窓会」が列車のヘッドマークを作り、掲示する取り組みを進めている。中心となったのは、運行が始まった1989年度に入学した44期生。「現役生の通学手段の確保にもつなげたい」と願っている。
掲示料や募金でサポート
ヘッドマークは2種類で、直径約75センチのアクリル製。創立100年の記念碑の画像を背景に、校訓「水平線上に突起をつくれ」の言葉などを刻んだ。平筑を走る普通列車の前後に掲示し、10月末まで同校の最寄り駅「勾金駅」がある田川線で運行している。
きっかけは、今年度の同窓会本部総会の当番期の44期生が「思い出を運んでくれた大切な鉄道を手助けしたい」と声を上げたこと。東京や関西、福岡など7支部が賛同し、ヘッドマークの制作費や掲示料の資金を出し合って実現した。
同社によると、ヘッドマークの掲示料金は1枚あたり月2万2000円(制作費は別)。利用は企業や団体によるキャンペーンのほか、鉄道ファンが中心だが、年に1、2件にとどまっており、担当者は「収益につながりありがたい」と話す。
「通学手段の確保」願い込め
福智町の車両基地で10月18日、44期生や同窓会幹部が集まり、ヘッドマークを見学。思い出を振り返りながら「通学手段がなくなると、田川高の存続も危ぶまれるのではないか」、「BRT(バス高速輸送システム)にしてでも残してほしい」などの声も聞かれた。
同校で25日に開かれる年に1度の同窓会本部総会では、出席者全員に支援を呼び掛け、集まった浄財を同社に寄付する予定。
通学で利用した嘉麻市の会社員男性(51)は「別々の高校に進学した同級生と毎朝、駅で会えるのが楽しみだった」と懐かしそうに語り、田川市の公務員男性(51)は開業当時を振り返り「列車も新しく、ワクワクした記憶がある。平筑がなくならないように利用者が増えてほしい」と話した。