【鹿児島】「たこさんウィンナー」姿の新種?生物 大隅半島の河川で発見

「たこさんウィンナー」のような形をしたヤマタロウヤドリツノムシ(上野准教授提供)


 鹿児島大などの研究チームは、鹿児島県・大隅半島の河川で、淡水のカニ類と共生する「截頭(せっとう)類」の生物の一種を発見したと発表した。新種とみられ、英国の専門誌「ジャーナル・オブ・ヘルミンソロジー」のオンライン版に掲載された。体長1~5ミリの白っぽい体で触手を持っており、研究チームは「『たこさんウィンナー』に似た愛らしい姿で、親しみが持てる」としている。


 研究チームは、鹿児島大院の上野大輔、塔筋弘章両准教授と長崎県の中学教諭・金子卓磨さん、かごしま水族館の宮崎亘さん、かごしま環境未来館の上野浩子さんら。

 宮崎さんが2000年、大隅半島固有種のミカゲサワガニを河川で採集した際、体表に付着して歩き回る小さな生物を発見したのがきっかけ。当時、琉球大の研究員だった上野准教授らと12年から共同研究を始めた。

 分布状況を調べたところ、モクズガニの体表にも共生していることが判明。肝付町と垂水市の河川で採集した標本をもとに、観察やDNA解析などを行った結果、東南アジアに分布する種と似た新種の可能性が高いこともわかった。大隅半島を中心に南九州に生息しているとみられる。

 カニの体表の藻を食べたり、効率よく移動したりするために共生していると考えられる。モクズガニの通称「山太郎ガニ」にちなみ、標準和名は「ヤマタロウヤドリツノムシ」と名付けられた。

 上野准教授は「存在は知られていたが正体が分かっていなかった。変わった生き物がいることは、鹿児島の自然環境が豊かであることの表れ。新種と認められるよう、さらに研究を続けたい」と話している。


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