【大分】竹田市が舞台の小説 町おこしの起爆剤へ期待

トークセッションに登場した赤神さん(右)ら

 大分県竹田市を舞台にした作家・赤神諒さんの時代小説「はぐれ鴉(がらす)」(集英社)が7月に発売された。同市は本をふるさと納税の返礼品に加えており、町おこしの起爆剤となることを期待している。

赤神諒さんの「はぐれ鴉」

 小説は江戸時代の竹田藩が舞台。一族を殺された男が、江戸で剣の腕を磨き、復讐(ふくしゅう)を誓い故郷に戻る。敵、味方が入り乱れる中、事件の真実が明るみになっていくというミステリー仕立て。長湯温泉のガニ湯などの名所が登場する。7月に発売され、重版が決まった。

 9月4日、市総合文化ホール「グランツたけた」で出版記念イベントが開催され、赤神さんや土居昌弘市長らがトークセッションを実施し、市民ら約50人が集まった。市文化大使も務める赤神さんは「竹田でしか描けない物語になった。町おこしの一助になれば」と話していた。

「聖地巡礼」の観光客も

 参加者からは「モノクロ写真だった竹田の歴史がカラー映像になった感覚」「豊かな竹田の魅力を全国各地に紹介できる」といった声が上がった。作品ゆかりの地を訪れる「聖地巡礼」のため市外からの観光客がすでに来ているという。

 市はふるさと納税の返礼品に「はぐれ鴉」の直筆サイン本を加えた。市によると書籍が返礼品になるのは珍しいという。土居市長は「町おこしに作品を生かせるかこれからが勝負だ。工夫を重ねていきたい」と語った。


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