【大分】水色の○→炭酸の濃さ 温泉成分をイラスト化

温泉成分の濃さなどが分かるイラスト(大分県産業科学技術センター提供)


 大分県産業科学技術センター(大分市)は、温泉成分の濃さなどが分かるイラストを開発した。インフォグラフィック(情報の視覚化)と呼ばれる手法を用い、炭酸や硫化水素、水素イオン指数(pH)など11項目について、2~5段階で表現。温泉の特徴が一目で分かるようになり、センターは「観光情報として活用してもらえるように働きかけたい」としている。

11項目を2~5段階で表現

 豊後高田市で開かれた「日本温泉科学会第75回大会」で9月8日に発表された。イラストでは、仙人がおけに入浴しており、湯気やおけの板などでそれぞれ11項目を表現した。

 水色の丸は入浴時に肌に泡が付着する炭酸の濃さ、紫の丸は鉄がさびたような匂いがする鉄イオンの濃度を示している。塗りつぶされた丸が多いほど、濃度が高いという。

 紺色のひし形はアルカリ性の程度で、色が塗りつぶされた数が多いほど、入浴時につるつるすべすべとした感覚があるという。紅葉色のひし形は保湿効果があり、しっとりした感じがするメタけい酸の濃度を表している。

 一方、おけの板は様々な効能があるとされる塩化物、炭酸水素塩類、硫酸塩類の3種類の成分について説明し、成分が濃くなるほど、塗りつぶされる板の数が増えていく。

「観光情報に活用を」

 温泉の成分については、施設に掲示されている温泉分析書で示されているが、施設などから「もっと分かりやすく、子どもにも伝わるような表示がほしい」といった声がセンターに寄せられたことから研究を始めたという。

 まず豊後高田市内の温泉施設6か所に掲示。今後、県内の市町村や温泉施設にイラストを利用してもらえるように働きかけるとともに、数値を入力すれば、イラストが作成されるアプリも開発する計画だ。

 センター研究員の秋吉貴太さんは「どこの温泉を利用するかは立地や雰囲気で選ばれがちだと思うが、このイラストが温泉の成分にも目を向けるきっかけになり、温泉のさらなる魅力発信につながればうれしい」と話している。


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