【鹿児島】仏教を身近に!天文館の「坊主バー」が再開

 お酒を飲みながら僧侶と語らい、仏教を身近に感じてもらおうと、浄土真宗本願寺派(本山・西本願寺)の僧侶有志が鹿児島市の繁華街・天文館でバーを開いている。新型コロナウイルス感染拡大の影響でオンラインでの開催が続いていたが、今年1月、約3年ぶりに実店舗の再開にこぎつけた。

コロナ禍で3年ぶり実店舗

 ネオンが輝くビルの地下1階。1月16日夜、「天文館坊主バー」では、袈裟(けさ)姿の僧侶4人がカウンター越しに来客と談笑していた。


3年ぶりの実店舗で来客と談笑する僧侶

 客席は10席余り。「白蓮華(びゃくれんげ)」「倶会一処(くえいっしょ)」といった仏教を連想させる名前のオリジナルカクテルのほか、ビール、焼酎などを取りそろえる。和風の調度品もあるが、店員が袈裟姿であることを除けば、あまり仏教色を感じさせない雰囲気だ。

 オープンは2016年3月。お寺に垣根の高さを感じている人や若い世代に仏教を知ってもらおうと、願生寺(鹿児島県薩摩川内市)の亀田信暁住職らが発案した。深夜営業のバーを開店前や店休日に間借りし、月1回開店。法話や雅楽演奏のほか、仕事や恋愛、生活などの雑談を交わす場になっていた。

 しかし、コロナ禍で20年2月を最後に実店舗での営業を中断。同年5月からオンラインに切り替え、月1回のペースで開いてきた。

 鹿児島県外や海外からの参加者が増えて輪が広がる一方、実店舗での再開を求める声も高まった。店長を務める亀田さんは「対面の方がお客さんの表情や雰囲気を読み取りやすい。いつか実店を再開しようと思っていた」と振り返る。

「様々な人が訪れる場に」

 3年ぶりの実店舗には、常連や一見客ら男女17人が来店。20歳代の女性もおり、僧侶たちはお酒をつくったり、悩みの相談に乗ったりして来客をもてなした。

 オンラインで参加した経験はあったが、来店は初めてという鹿児島市の自営業の女性は「バーに参加してからお坊さんや寺に感じていた壁がなくなった。実店舗だと、同じ空間を共有することによる温かさを味わえる。また行きたい」と語った。

 今後は新型コロナの感染状況を踏まえ、席数を制限しながら2か月に1度の頻度で営業する予定。オンラインも並行して開催する。

 亀田さんは「ようやく元のスタイルに戻ることができた。楽しみたい人や泣きたい人、悩みを打ち明けたい人など様々な人が訪れる場として今後も続けたい」と意気込んでいる。

 営業日などはホームページに掲載。問い合わせは亀田さん(090-9572-2970)へ。


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