【大分】海辺の天体望遠鏡が進化 「関崎海星館」再開へ

 大分市東部の佐賀関半島の突端にある天体観測施設「関崎海星館(せきざきかいせいかん)」が、1995年の開館以来初となる大規模改修を終えて7月21日、再オープンする。九州で2番目の大きさとなる口径83センチの天体望遠鏡や、最新型のデジタルプラネタリウムを新たに導入した。大分、愛媛両県の間にある豊予海峡や豊後水道、四国側を一望できる眺望も人気で、地元は観光の起爆剤として、九州各地や四国からの観光客増加に期待している。


大分、愛媛両県間の豊予海峡を望む佐賀関半島の突端にある関崎海星館(7月2日、大分市で)

九州で2番目の口径

 「新しい望遠鏡はデジタル化され、モニターでも映像を確認できます」。7月2日に行われた内覧会で、担当者が天体望遠鏡について熱心に説明していた。観光関係者や地元住民ら約110人が訪れ楽しんだ。

 口径60センチだった天体望遠鏡は83センチのものに交換。より光を集めやすくなったことで、改修前より鮮明に天体を見られるようになった。同館によると、九州では福岡県八女市星野村の「星の文化館」にある口径100センチに次ぐ大きさになる。


九州で2番目の口径を持つ新たな天体望遠鏡


 関崎海星館の川田政昭館長は、星の文化館にイベント講師として訪れたこともあり、同館の桐野修館長は「大分と星野村の星空を中継し合うなど連携できたらうれしい」と歓迎する。


 また、プラネタリウム施設(22席)も導入。デジタル化で、天体望遠鏡で撮影した天体をプラネタリウムに投影することも可能になり、前後100万年の星空を再現できるようになった。


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「体験型」増やす

 関崎海星館は大分市との合併前の旧佐賀関町が、1995年に開設。塩害で天体望遠鏡が傷みやすい海沿いでの天体観測施設の立地は、全国的に珍しいという。鉄筋コンクリート(一部鉄骨)2階建てで延べ床面積は約720平方メートル。コロナ禍前は年間約3万人が訪れていた。

 改修のため昨年5月に休館。改修後は展示スペースも刷新し、子どもに宇宙への興味を持ってもらおうと体験型展示を増やした。実物の隕石(いんせき)に磁石を付けたり、体を回転させて月の満ち欠けの様子を模型で見たりできる。バリアフリー化も進めた。改修費は計約6億円。


体験型の展示や惑星探査の歴史を紹介するコーナー

 川田館長は「学びが次世代へつながるようになってほしい」と話している。

観光起爆剤に

 再オープンに合わせ、市は佐賀関にグループ会社の製錬所を持つJX金属(東京)とネーミングライツ契約(年間100万円)を結び、愛称を「JX金属 関崎みらい海星館」とした。

 同社の林陽一社長は締結式で、「名称の『みらい』には、未来を担う子どもたちに愛される学びの場であり、観光振興を含めた佐賀関地区の未来へとつながってほしいという願いが込められている」と述べた。

 大分市佐賀関は、ブランド魚「関アジ」「関サバ」で知られ、関崎海星館の再オープンで観光客増加に期待が集まる。内覧会に参加した同市観光課の緒方賢一郎課長は「天体好きの人たちが来館する可能性を感じた。観光の起爆剤になってほしい」と話している。

 関崎海星館の天体望遠鏡がある天体観測室は一般420円、高校生210円、中学生以下無料。プラネタリウム(要予約)は一般500円、高校生250円、小中学生100円。火曜休館。

 ▶関崎海星館の動画はこちら


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