大牟田市庁舎本館の3Dデータ使用権を寄贈 建築士会
福岡県大牟田建築士会(中野博会長)は、戦前の1936年(昭和11年)に建設された大牟田市庁舎本館(国登録有形文化財)内部の議場などを撮影・測定した精密な立体の3次元(3D)データの使用権を市に寄贈した。すでに、外観のデータは寄贈しており、同会は「石炭産業で栄えた大牟田の黄金時代を象徴する建物。精密なデータで再現しており、その素晴らしさを多くの市民に知ってほしい」と期待している。
外観に続いて内部も
市は2019年、本館について、耐震性の問題などから解体の方針を明らかにした。しかし、市民からの反対もあり翌年に撤回。現在は民間活用で存続することになった。
同会は発足10年記念事業で23年にドローンや一眼レフカメラで本館外観を撮影。内部は今年1月18、19日に本館玄関ホール、階段、2階廊下を通って議場に入り、傍聴者用階段付近までを撮影・測定した。内部と合わせた測定データ数は計3億6000万点ある。建物の断面図も見ることができるという。
中野会長ら同会幹部らは3月中旬、市役所を訪問し、本館を紹介した約4分間の動画を流した後、データの使用権を関好孝市長に渡した。データは同会のホームページでも閲覧できる。
関市長は「建物内に入る機会がない人も、パソコンで見られるので活用してほしい」と述べ、中野会長は「本館の原形を正確に記録するため屋内の展示物などを外して撮影した」と苦労話を披露し、「どんなことが起きても、このデータがあれば元通りに復元できる。市には、いろんな活用法を考えて役立ててほしい」と話した。