【大分】「日本でここだけ」のホーバークラフトが大分港に

 大分県は8月22日、大分空港(国東市)と大分市間で2024年に就航するホーバークラフトの1隻目が、24日に同市に到着予定だと発表した。国の試験などを経て、9月中旬までに県に納入される見通し。同市と空港間を最速約30分で結び、ホーバーの旅客航路は国内唯一となる。佐藤樹一郎知事は22日の定例記者会見で「乗り物ファンが観光で訪れることも期待できる」と述べた。

旅客航路は国内で唯一


英国の港で貨物船に積み込まれた「Baien」(7月、提供:大分県)

 県は空港へのアクセス(交通手段)強化のために導入を決めた。

 ホーバーは大量の空気を船体の下に噴出して宙に浮かせた状態で前に進む水陸両用の乗り物。県によると、1隻目の「Baien(バイエン)」は7月14日、貨物船に積み込まれ、製造元がある英国の港を出発し、8月22日に東京港に到着した。

 予定では、同24日に大分市の大分港に到着。25日に国の船舶検査があった後、保管場所となる大分空港側のホーバーターミナル近くまで自力で航行する。9月上旬には機能や安全性を確認するための国の試験で、別府湾の運航ルートを試験運航する。

「豊後の三賢」にちなみ命名

 バイエンは全長約26メートル、全幅約13メートル、高さ約9メートル、80人乗りで最高速力45ノット(時速83キロ)。県は「Banri(バンリ)」「Tanso(タンソウ)」を加えた計3隻を約42億円で購入し、英国の製造元からは来年1月までに順次、納入される予定という。名称は公募で、江戸時代に活躍した県ゆかりの教育者、三浦梅園、帆足万里、広瀬淡窓の「豊後の三賢」にちなんで決まった。

 就航に備え、県は約71億円で大分市側(西大分地区)と大分空港側のターミナルを整備。運航は公募に応じたタクシー大手「第一交通産業」(北九州市)が設立した「大分第一ホーバードライブ」(大分市)が担う。


記者会見する佐藤知事


 佐藤知事は22日、「日本でここだけの就航。空港アクセスが第一の目標だが、観光目的の方の期待にも応え、より多くの方に乗っていただきたい」と語った。


 一方で、24年の詳細な就航時期は不透明な状況だ。県は23年度中としていたが、英国の工場での製造過程のトラブルでホーバーの納入に遅れが生じ、操縦士や整備士らの研修スケジュールに影響している。佐藤知事は「安全確保を優先しながら、引き続き運航業者と調整を図っている」と話した。


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