【佐賀】県内最古「佐嘉酒造」建て替え 魅力発信拠点へ

 佐賀県内最古とされる300年以上の歴史を持つ酒造会社「佐嘉酒造」(旧窓乃梅酒造、佐賀市久保田町新田)が、日本酒の製造工場などの建て替え工事を進めている。伝統を守りながら、酒どころ・佐賀の魅力を発信する地域の拠点として次世代に継承することが目標。製造過程を見学したり、地元食材と一緒に日本酒を楽しんだりする施設を整備し、2026年秋の完成を目指す。


事務所(左端)や見学ができる工場(右奥)などを整備した完成イメージ図(佐嘉酒造提供)

 同社は1688年(元禄元年)創業。「窓乃梅」の銘柄で知られ、地元だけでなく、豪華列車で提供されるなど県内外で親しまれてきた。2020年、建築・土木業など多角的な事業を展開する「地域みらいグループ」(福岡市)の傘下に入り、佐賀の新たな酒文化を発信するため、昨年11月に現在の社名に変更した。

 工事は、約1万1200平方メートルの敷地に、日本酒の製造工場や瓶詰めする建物、麦焼酎の蒸留所などを建てる。工場では酒造りを見学できるほか、事務所が入る建物には、酒の試飲や酒を使ったスイーツを楽しめるスペースを設ける計画という。


工事が進む現場で「多くの人に酒の魅力を伝える場にしたい」と話す木下社長

 着工は今年4月で、25年10月までに日本酒製造に必要な施設を整備し、全ての建物が完成するのは26年9月を予定。総合設計監修・施工は「住友林業」(東京)が担当している。

 改修を前に、佐嘉酒造の木下里美社長らは昨年6~7月、長野県や宮城県などの酒造会社を視察した。同行した力久光浩工場長は「新築した建物での酒造りや、観光客向けの見学をどのように行っているかを学ぶことができた」と振り返る。

 木下社長は「佐嘉酒造として新たなスタートを切ったばかり。300年以上の歴史を継承しつつ、これからの300年に向け、佐賀はもちろん、海外にも目を向けた酒造りを行う場所にしたい」と話している。


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