【大分】馬とふれあい心身育む 大分市にホースセラピー

 馬とのふれあいを通じて心身を育む「ホースセラピー」を、障害のある子どもの療育に取り入れた施設が、大分市にできた。牧場では馬が放牧され、乗馬や世話をすることができる。施設管理者の神田京子さんは「牧場で馬とふれあうことで、心を解放してほしい」と話している。

障害のある子が世話や乗馬 


「馬と意思疎通が図れたときはうれしい」と語る神田さん

 施設は、児童発達支援・放課後等デイサービス「ぶらぼぅの家」。JR大分駅から車で約15分の大分市荏隈に、8月1日にオープンした。住宅街を抜けると、木々に囲まれた牧場で馬たちがエサを食べるのどかな景色が広がる。

 ホースセラピーでは、エサやりやブラッシングといった馬の世話を通じて、社会性や情緒を育む。乗馬を通じて姿勢が良くなったり、体のトレーニングになったりすることも特徴だ。

 神田さんが施設を開設したきっかけは、発達障害を持つ中学生の娘だった。周囲とのコミュニケーションがうまくいかずに学校で窮屈な思いをしている姿を見て、「学校で孤立している子たちが、安心してのびのびできる場所を作りたい」と思うようになった。

 また、両親が運営していた社会福祉法人の施設で馬と利用者がふれあう機会があり、その時の利用者の楽しそうな表情が忘れられず、ホースセラピーを思い立った。

人間好き、天真らんまん…性格さまざま

 昨秋から計画を進め、県内各地の乗馬クラブに通いながら馬のことを勉強した。また、竹田市で牧場を営んでいたインストラクターの村越利幸さんの協力も得ることができ、開設につながった。


「心を育み、心のよりどころとなるような場所に」

 牧場には5頭の馬が放牧され、このうち、人間好きのアルテミス(雌)、一見ぶっきらぼうな態度だが好意的な態度をとることもあるナナ(同)、天真らんまんな性格のビスケット(雄)の3頭がホースセラピーで活躍する。村越さんは「馬は視覚や聴覚など感覚全てを使って人間とコミュニケーションを取る。それぞれの個性もまったく違い、奥が深い」と熱を込める。

 また、神田さんは「乗馬の際、止まったり曲がったりするときに意思疎通が必要になる。ほかの動物とは取れないコミュニケーションが馬となら取れる」と魅力を語る。

 施設では、3~18歳の障害を持つ子どもたちが利用の対象となる。将来的には、大人たちまで対象を広げることも検討しているという。神田さんは「動物を慈しむ心を育み、障害を持つ人たちにとって心のよりどころとなるような場所にしたい」と話している。

 問い合わせは、ホームページの専用フォームから受け付けている。


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