【鹿児島】志布志城跡をCG動画で再現 攻城戦の体験も

 鹿児島県志布志市に残る中世の山城「志布志城跡」(国指定史跡)を広く知ってもらおうと、市教育委員会が、戦国時代の攻城戦や城郭を再現したコンピューターグラフィックス(CG)動画を作るなど、PRに力を入れている。城跡内に掲示されているQRコードをスマートフォンで読み取ると視聴でき、担当者は「地元の名城を訪ねてほしい」と呼び掛けている。


志布志城の攻城戦を再現したCG動画の一場面。内城跡で視聴できる(志布志市教委提供)

 志布志城は、志布志湾に臨む高台にある内城、松尾城、高城、新城の四つの城で構成。QRコードは、古城群の中核をなす内城の大手口や本丸、搦手(からめて)口など6か所に設置されている。現地に掲示されているQRコードをスマートフォンで読み込むと、矢を射かけられたり、崖を上ったりする足軽らのCG動画を視聴できる。

 再現したのは、志布志城を治めた新納(にいろ)氏と豊州家島津氏の間で戦国時代の1536年に繰り広げられた攻城戦。QRコードの設置場所でスマートフォンを上下左右に360度動かすと、それぞれの角度に合わせた当時の城郭を再現した動画も楽しめる。


志布志城の内城の再現模型

 志布志城は、南北朝時代の1336年にはすでに築かれていたとみられ、江戸時代の一国一城令で廃城になったとされる。シラス台地が広がる南九州に多い「群郭式城郭」で、石垣はほぼなく、曲輪(くるわ)が幾重にも連なり、垂直に切り立った空堀などの跡も残されている。

 中世の志布志は良港を持つ物流拠点で、軍略上も要衝。この地を治めようと、楡井、畠山、新納、豊州家島津、肝付、島津の6氏が何度も争い、城の主となった。発掘調査では、備前や常滑、唐津などの陶器や中国の古銭も出土しており、東アジアも含めた広範囲で交流した形跡も確認されているという。

地元の歴史に関心を持って

 日本城郭協会の「続日本100名城」に選ばれており、年間約3000人の城郭ファンが来訪。ただ、全体が樹木に覆われ、その全容や歴史はあまり知られていなかった。市埋蔵文化財センターなどでは、内城を散策できる簡単な地図も置かれ、無料で配っている。

 市教委生涯学習課の大窪祥晃・指定文化財係長は「現地を訪ねて中世の志布志城を体感し、地元の歴史に関心を持ってほしい」と話している。問い合わせは同課(099-472-1111、内線342)へ。


advertisement