【佐賀】有田焼ドクロがパリコレに 唯一無二のオブジェ

 有田焼でできた実物大のドクロが、パリで初披露された。手がけたのは、パンクロッカーで佐賀県有田町の窯元「親峰武堅(しんぽうたけけん)」社長のカズキ(本名・武富和幸)さん(57)。海外で有田焼をPRし、コロナ禍に半減した売り上げを挽回しようと生み出した、こだわりのオブジェだ。

パンク歌手で窯元「親峰武堅」社長


パリコレで有田焼でできたドクロのオブジェを披露する恵美須さん(提供:親峰武堅)


 秋に行われた世界最大のファッションショー、パリコレクション(9月25日~10月3日)。パリ市内の各所では大小様々なショーが開かれ、会場の一つとなったホテルで、カズキさんのドクロのオブジェがお披露目された。


 窯元専務の恵美須遼馬さん(28)が、ドクロを手にランウェーを歩くと、客席から拍手がわいた。「観客は初めて見る有田焼のドクロに興味津々で、『何でできている?』『一点ものなの?』などと尋ねてくれた」と、恵美須さんは振り返る。

生命の尊さを表現

 商品名は、MUKURO(骸(むくろ))。窯元では、ホテルや居酒屋などの業務用食器の生産が大半を占めるが、コロナ禍で売り上げが半減した。現状を打開するため、カズキさんは「今までにない世界に一つだけの有田焼を作ろうと、パンク・ファッションにも用いられるドクロに着目した」と語る。


ドクロのオブジェ


 一般的にはおどろおどろしい印象のドクロだが、「世界では、無常や再生、平等などのシンボルになっており、生命の尊さを表現できると考えた」とカズキさんは言う。


 3Dプリンターで作った、頭頂部や頬、下あごなど五つの精巧な型に、陶土を流し込み、できあがったパーツをつなぎ合わせて焼く。陶土は白さを際立たせるため、普段の食器作りに使う熊本・天草産の中でもより不純物の少ないものを使う。

 また、彩色は有田焼で伝統的に用いられる呉須(ごす)(藍色の顔料)を施した上で、金やプラチナを混ぜた絵の具で上絵付けする。受注生産で、デザインはカズキさんが考えるという。

「MUKUROを突破口に」


パリコレで披露したドクロのオブジェを手にするカズキさん

 カズキさんの実家は、代々作陶を受け継ぎ大正時代に会社化した老舗で、最盛期の1980年代には従業員約400人を抱える有田でも有数の窯元だった。しかし経営が悪化し、2013年には約2億9000万円の負債を抱えた。

 東京でバンド活動をしていたカズキさんは、その年に家業を継ぐために有田に戻った。現在は破産手続きも終わり、従業員15人で、新しい商品開発にも力を入れているという。

 カズキさんは「MUKUROは、納得のいくまで試行錯誤してようやく完成した唯一無二の有田焼。このオブジェを突破口にしたい」と語る。


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