【佐賀】「佐賀の赤酢」を特産品に! 2月にイベントも

 酒造りが盛んな佐賀県内で、日本酒を製造する際に必ずでる酒かすで赤酢を造り、特産品とする取り組みが進んでいる。1月に五つの酒蔵などで販売を始め、2月には赤酢を使った料理を提供するイベントを開く。参加する酒蔵も増やしていく予定で、関係者は「『佐賀の赤酢』としてブランド化につなげたい」と意気込む。


五つの酒蔵の酒かすで造った「佐賀の赤酢」

 酒かすを原料とする赤酢は、江戸時代にすし酢に使われるようになり普及したとされる。赤褐色でまろやかな酸味や深いコクが特長。ただ、酒かすを長期間熟成させるなど製造に時間がかかり、全国で少なくとも約10社が手がける程度という。

 特産化は、地域の産品を活用した商品を企画開発する「ホンザン」(佐賀市)代表の本山智子さんが発案。2019年夏頃、事業者らとの雑談で赤酢を知った。日本酒を造る際に生じる酒かすは酒蔵の悩みの種だった。「酒どころの佐賀が赤酢の産地になる素地がある」と感じたという。

 本山さんは酒蔵の関係者らに相談。賛同した東鶴酒造(多久市)の酒かすを使い、20年2月に老舗食酢メーカー「サガ・ビネガー」(佐賀市)が第1号の赤酢を造り、販売した。だが、新型コロナウイルスの影響で十分なPRができず、思った成果が出なかった。

 協力する酒蔵を増やそうと「ホンザン」などが軸となって22年4月に実行委員会を発足。東鶴酒造のほか、天吹酒造(みやき町)、天山酒造(小城市)、古伊万里酒造(伊万里市)、光武酒造場(鹿島市)の計5酒蔵が参加し、酒蔵ごとの赤酢造りが始まった。1年以上熟成させた酒かすを使い、赤酢の発酵・熟成に半年をかけたという。


完成した赤酢を披露する各酒蔵の代表者ら

 酒蔵ごとに赤酢が出来上がり、ボトルに各蔵のラベルを貼った。1月15日に佐賀市でお披露目会があり、酒蔵の代表者らが出来栄えを宣伝した。東鶴酒造の野中保斉(やすなり)社長は「赤酢が身近になれば、飲食店でのメニューの幅も広がり、料理と一緒に日本酒をPRできるようになる」と語る。1月16日から販売が始まった。

2月に30店が料理で提供

 実行委は2月の1か月間、イベントを行う。県内の飲食店など30店舗で赤酢を使った料理を提供する。すしや酢の物のほか、ピクルスやカルパッチョなど洋風メニューがある。

 県酒造組合には20を超える酒蔵があり、実行委は3年以内に参加する酒蔵を10社ほどにし、商品数を増やす考えだ。本山さんは「酒かすには、酒蔵のこだわりが凝縮されている。ノンアルコールでお酒が飲めない人も蔵ごとの特徴を味わえる」と話す。

 赤酢は税別で72ミリ・リットル入り700円、300ミリ・リットル入り1500円など。各酒蔵の直売所やサガ・ビネガーなどで販売している。


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