【宮崎】新富町に手作りゴルフ場 愛好家うなる9ホール
宮崎県新富町日置に、地元のゴルフ愛好家の男性が山の雑木林を切り開いて手作りした全9ホールのミニゴルフ場がある。池やバンカーを巧みに配置した難易度の高いコースや、尾鈴山の姿を眺めて一息つける休憩場所があり、「日本一美しく、面白いゴルフ場をつくろう」というこだわりが随所に感じられる。
家族の反対押し切り、バンカーや池も
「シャンボールGC」があるのは新富町役場から北約4キロの周囲に畑や牛舎が並ぶのどかな地域。整備してきたのは近くに住むホルスタインの元肥育農家、河野秀勝さん(76)だ。町出身で、高校卒業後、家業だったサツマイモ栽培などの農業を営み、ホルスタインの肥育も手がけた。
ゴルフを始めたのは40歳代後半。仲間と回るゴルフ場の開放感のとりこになった。自分も作りたいと考えるようになり、50歳を機に肥育農家をやめ、整備を始めた。家族から反対もされたが、熱意で押し切った。
ショベルカーなどを使い、所有する山の雑木林の木々を一人で伐採。約8ヘクタールの土地を整地し、芝を植えて増殖させた。バンカーや池、グリーンも自分で手がけ、車庫の建物を改装してクラブハウスも設け、作業開始から3年後の2000年、開業にこぎ着けた。クラブハウスでは妻の久枝さん(75)が自慢のソバなどを出す食堂「そば処 好日庵」も開いた。
起伏に富み、花々も多彩
コースは50~350ヤードの9ホールで、パー29。もともと山だったこともあって起伏に富んでいる。ゴルフ好きの人をうならす難易度の高いコースもあり、300ヤードの3番ホールはその一つだ。グリーン手前にはグリーンに向かって右手側にアゴが高く脱出が困難な「アリソンバンカー」、左手側には池を配置。その間のフェアウェーは幅約2メートルしかなく、バンカーや池に落とすのではないかとプレッシャーがかかる。
一方で、「自然の中でのプレーを楽しむ心を持ってほしい」と、コースにはツバキや桜、シャクナゲなどを数多く植えている。
サザンカや松などが植えられた1、2、9番ホールは「日本庭園型コース」と呼び、1番のティーグラウンド横の小さな池では金魚が泳ぐ。4、5、6、7、8番ホールは「洋風型コース」で、ラフの所々にあるワシントニアパームやソテツが南国の雰囲気を醸し出す。8番ホールのグリーン横には東屋(あずまや)も用意。周囲に桜やシャクナゲなどの花木が植えられ、遠方に尾鈴山が望める。
開業20年超も「日本一」へ改良中
驚きなのは開業20年超となっても、「日本一」のコースを目指して改良を続けている点だ。現在はクリーク(コース内を流れる小川)を整備中で、「私の目が黒いうちに完成させ、『100年続くゴルフ場』として未来にも残り続けてほしい」と河野さん。改良に気づいた常連客から「また難しくしましたね」と言われるとうれしいそうだ。
コースは平日2000円、土日と祝日は2500円で回り放題。「そば処 好日庵」は土日祝日のみ営業し、自家製のそば粉を使ったせいろそば(1000円)などが人気。問い合わせはシャンボールGC(0983-33-0512)へ。
手ごわい難コース そばに舌鼓
晴天に恵まれた3月2日午前、ゴルフ歴4年の記者もプレーしてみた。
1、2番ホールはパーとボギーとまずまずの滑り出し。続くはグリーン手前にアリソンバンカーと池があるパー4の3番ホール(300ヤード)。ドライバーでのティーショットで残り50ヤードほどの位置に付け、2オンを狙ってアイアンでセカンドショット。
しかし、池があるというプレッシャーに負け、ボールは右にそれてアリソンバンカーに吸い込まれた。壁のように見えるバンカーのアゴは記者の身長ほどあり、脱出に複数回のショットを要し、このホールは9打もかかった。
その後も最終9番ホールで谷底にボールを落としてダブルボギーとするなどし、全9ホールでパー29に対し、39打だった。
昼食は食堂でせいろそば。コシがあり、さっぱりとした味わいで、2人前を完食。一人でもゴルフ仲間も連れてでもまた来たいと思いながら、帰路についた。(浜崎大弥)