【熊本】阿蘇神社楼門の模型が完成 熊工生が5年のリレー

 熊本工業高(熊本市)の生徒らが制作した阿蘇神社(熊本県阿蘇市)の楼門を10分の1に縮尺した模型が、熊本市中央区の肥後の里山ギャラリーで開かれている阿蘇神社展で評判だ。先輩から後輩に引き継がれて5年がかりで完成させた。部材は熊本地震で楼門と共に倒壊した拝殿の古材を再利用した。


展示会場の中央に飾られた楼門の模型

歴代3年生から後輩へ

 阿蘇神社は2016年4月16日の「本震」で、1850年(嘉永3年)造営の楼門(重要文化財)、1948年(昭和23年)造営の拝殿が崩れるなど甚大な被害を受けた。その後、防災教育の一環として、高校生の被災建物見学を実施。同高建築科は2019年、3年生の課題研究として楼門の模型制作を決定。神社は倒壊した拝殿の柱などを提供した。

 古材は入手困難な台湾のヒノキで、制作には歴代の3年生延べ34人が参加。実際の楼門修復に使う図面を基に、細部まで精巧に再現し、高さ1.8メートル、幅1.9メートルの模型が1月に完成した。今春、ハウスメーカーに就職した山田勇輔さん(18)は「どこから見てもきれいに見えるよう意識した。自分たちだけでなく先輩の思いが詰まった楼門を改めて見て感動した」と話す。


阿蘇神社楼門の10分の1模型


 神社で宝物管理に携わる池浦秀隆学芸員は「制作を通して技術の継承ができた。古材を使い形を変えて残せたことは意義深い」と評価する。


advertisement