【大分・宮崎】祖母・傾・大崩山系 登山の難易度を格付け
大分、宮崎両県にまたがる「祖母(そぼ)・傾(かたむき)・大崩(おおくえ)ユネスコエコパーク」の推進協議会が、エリア内の主要30山の63ルートについて必要な体力度や難易度を全国同一基準でランク付けし、ホームページなどで公開している。「山のグレーディング」と呼ばれる取り組みで、九州の山では初めての実施。事故や遭難を防ぎ、「経験者向け」とされる祖母・傾・大崩山系の自然を初心者にも楽しんでもらいたい考えだ。
主要30山・63ルートを公開
エリア内は岩峰群や切り立った崖、幾筋もの渓谷からなる景観が特徴で、暖温帯から冷温帯までの幅広い植生を見ることができる。2017年にユネスコ(国連教育・科学・文化機関)の「生物圏保存地域(エコパーク)」に登録された。
大分、宮崎両県警によると、同山系では23年、山岳遭難が6件発生。死亡事故も19~23年の5年間で3件起きており、24年5月にも大崩山系で沢登り中の女性が滑落して亡くなった。
グレーディングは長野県が14年に始め、秋田、山形などを加えた計10県と四国・石鎚山系で導入している。協議会も登山者それぞれの実力に応じた無理のないルートを選んでもらおうと、同じ基準を採用し、所要時間や登り下りの標高差などから必要な体力度を1~10の10段階で示した。
難易度はA~Eの5段階で分類。例えば、人気がある「祖母山の神原登山口・本登山道」「祖母山の北谷登山口・千間平」はいずれも「3・B」。監修した日本山岳会東九州支部の安東桂三支部長(68)は「天候が悪くなければ初心者でも登ることができる」と解説する。
初心者が楽しめるコースも
主要登山道以外では「祖母山の白水登山口(メンノツラ谷登山口)・メンノツラ谷」は「3・C」で経験者向けだが、原生的な自然が楽しめる。エリア内に計10ルートある「D」は「ベテランでも天候次第で避けた方がよい」という。最高難度の「E」は、該当するコースがなかった。
比較・参考の材料にしてもらおうと、大分県内の久住山や宝満山(福岡県)、高尾山(東京)といった登山経験がある人の多い山のグレーディング結果も併せて掲載している。
協議会事務局の大分県自然保護推進室の内藤元理(もとみち)さんは「祖母・傾・大崩山系は上級者向きと思われがちだが、初心者が楽しめるコースもある。主要登山道以外のルートも紹介しており、経験者も参考にしてほしい」としている。