【山口】山口市のシェアサイクル事業が好調 目標上回る
自転車を15分単位で貸し出す山口市のシェアサイクル事業が2023年度、1万2367回利用され、市の目標(1万1000回)を上回った。運用5年目の24年度を最後に事業の実証期間を終え、25年度から本格導入に移る見込み。市は今年度も「ポート」と呼ばれる駐輪場を増設し、さらなる利便性の向上を目指す。
2025年度から本格導入へ
シェアサイクル事業は、公共交通の補完や観光客の誘致、温室効果ガスの削減を目的に2020年9月から始まった。運営会社「ecobike(エコバイク)」(東京)のシステムを取り入れ、スマートフォンの専用アプリで自転車の解錠から利用料金の決済まで完結する。利用は24時間可能で、ポートならどこでも返却できる。
市交通政策課によると、開始当初は市中心部にポート10か所と自転車40台を配置。年度ごとに規模を拡大し、現在はポート34か所と電動アシスト自転車20台を含む計120台体制でサービスを提供する。道路交通法の改正で着用が努力義務となったヘルメットも、23年4月から観光案内所など市内6か所で無料で貸し出している。
利用実績は、実質7か月間だった2020年度は1101回にとどまり、21年度も4777回と伸び悩んだ。そこで21年7月から利用料金を15分50円から同30円に値下げし、8時間未満の上限金額を700円に抑えたところ、22年度は1万77回、23年度には1万2367回と大幅に増加した。
市は毎年度、自転車の走行ルートを把握するGPS調査を実施。市民アンケートの結果も踏まえて24年度は市内5か所にポートを増設することを決めた。自転車の追加投入も検討する。
24年度までは国の交付金を活用した実証事業として位置づけていたが、交付金の終了に伴い来年度からは基本的に市独自の予算で運営する見通し。市の担当者は「自転車は環境に優しく、健康増進にも役立つ。シェアサイクル事業の安定的な継続に向け、一層のサービス向上に努めたい」としている。