旧志免鉱業所竪坑櫓の内部に潜入!デジタルで体感する炭鉱全盛期

普段は立ち入れない竪坑櫓の内部をデジタルコンテンツで探索=画像はいずれも公式サイトより

記事 INDEX

  • 国重文の価値を発信
  • 現在と過去をつなぐ
  • メタバースを探索!

 石炭増産のために旧日本海軍が建造した福岡県志免町の国重要文化財「旧志免鉱業所竪坑櫓(たてこうやぐら)」の体感型デジタルコンテンツが誕生しました。町役場でVR(仮想現実)の体験ができ、専用ゴーグルとヘッドホンを装着すると、炭鉱全盛期にタイムトリップできます。刷新した公式サイトでは、竪坑櫓を再現したメタバース(仮想空間)を公開しており、通常は立ち入り禁止のエリアを探索できます。

国重文の価値を発信

 旧志免鉱業所竪坑櫓は1941~43年、艦船用石炭などの採掘施設として建てられました。地上約50メートルの鉄筋コンクリート造りで、今も町のシンボルとしてそびえています。

 竪坑櫓は、地下430メートルと地上をつなぐ運搬用のかごを昇降させる設備で、石炭や労働者を運んでいました。塔の最上部に巻き上げ機を設置した「塔櫓巻型(とうやぐらまきがた)」と呼ばれる構造で、町によると、国内で唯一取り壊されずに残った歴史的価値の高い建造物だということです。


石炭産業の歴史を伝える旧志免鉱業所竪坑櫓(左奥)

 第2次世界大戦終結後は、国鉄の所有に移り、日本の復興と経済成長を支えました。エネルギー革命に伴い1964年に閉山し、2009年には国重文に指定されました。

 町によると、建造物としての存在感は際立っているものの、その歴史や役割を知る人は少なくなったそうです。担当者は「デジタル技術によって、より多くの人、そして後世に向けて価値を伝えたい」と話します。


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現在と過去をつなぐ

 VR体験は町役場本庁舎2階の「まちの魅力推進課」で受け付けており、体験スペースが設けられています。体験は、当時の炭鉱作業員になりきって没入感に浸れるよう、ヘルメット一体型のVRゴーグルを装着して仮想世界を進んでいきます。


体験で装着するヘルメット一体型のVRゴーグル


 VRコンテンツは、1950年代にタイムトリップする「過去への降下」と、現代までの歴史を学びながら遺構内部を巡る「記憶の回廊」があります。


「過去への降下」では坑内でツルハシを使った採掘体験も行う

 「過去への降下」(約7分)は、竪坑櫓のかごに乗り込む場面からスタート。降下するにつれて時代が巻き戻る演出で、ヘッドランプの明かりを頼りに薄暗い坑道を歩きます。トロッコの走行音や削岩機の打撃音、遠くで響く発破の音などが聞こえ、当時の現場の活気と熱量が伝わってきます。


「記憶の回廊」では年表や写真とともに歴史を解説

 「記憶の回廊」(約4分)は、竪坑櫓を昇りながら現在までの歴史を学ぶ内容です。往時の写真が映し出され、立ち入りが禁じられている遺構内を解説付きで巡ります。

メタバースを探索!


公式サイトで楽しめるメタバース

 町は、地域の"誇り"を多くの人に知ってもらおうと刷新した公式サイトを「旧志免鉱業所竪坑櫓デジタルミュージアム」と名付け、メタバースを公開しています。


内部の様子は? 立ち入り禁止のエリアも探索できる

 メタバースのページに入ると、現在の竪坑櫓を再現した空間が広がっています。内部を自由に探索でき、8階の一角に設けられていた作業員休憩室、町を一望できる屋上、トロッコが出入りしていた第八坑連卸坑口など多くの見どころが用意されています。


竪坑櫓の屋上からの景色

 サイトにはこのほか、「過去への降下」と「記憶の回廊」のVR動画、竪坑櫓の歴史や設計者を紹介するコーナー、当時の町並みや出勤の様子などをまとめたフォトギャラリーがあります。

 町の担当者は「炭鉱で働いていた人々の思いや歴史を知ってもらい、住民を含めて多くの人に志免町を好きになってほしい」と話しています。



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