平和台の味「ホームランうどん」 博多の老舗が115年の歴史に幕
仁伊島総本店で作った丸天うどんを出す新島さん
平和台球場(福岡市中央区)の売店で名物の丸天うどんを提供していたそばの老舗「仁伊島総本店」(同市博多区)が、4月30日で閉店する。店主が高齢化し、手作業の継承も難しくなったという。懐かしい「平和台の味」を知る人たちが別れを惜しんで来店している。
球場で抜群の人気に
明治の創業から115年を数え、店主の新島一弘さん(78)は4代目。20歳ごろから家業に携わった。平和台球場での出店を依頼された時、大相撲九州場所で販売した経験も踏まえ、引き受けた。売店は外野のスコアボード裏側で、プロ野球の試合日に開いた。
そばよりも麺がのびにくいうどんのほうがファストフードに向いていると判断した。ただ、だしのベースはそばと同じ。サバ節とカツオ節に昆布を材料に手作業で仕込み、薄口しょうゆを使った。丸天うどんは元々福岡で好まれていたが、売店でも人気は抜群で、いつしか「ホームランうどん」と呼ばれ、愛された。
新島さんは高校、大学時代はラガーマン。スポーツ好きだが、売店に立つと忙しく、観戦の余裕はない。歓声で試合展開を想像するしかなかった。西鉄ライオンズが前身の西武ライオンズや読売巨人軍の試合があると盛況だった記憶があり、うどんは多い日には300杯ほど売れたという。
根強いファンが来店
NPO法人・西鉄ライオンズ研究会理事の松永一成さん(62)は「ホームランうどんは平和台球場の風物詩。試合の結果や選手の活躍よりもおいしさが印象的で、つゆまで飲み干していた」と懐かしむ。
売店は、福岡ダイエーホークス(現・福岡ソフトバンクホークス)の本拠地が1993年に福岡ドーム(現・みずほペイペイドーム福岡)に移り、営業を終えた。現在、博多区下川端町にある総本店のメニューに丸天うどんは残る。麺など売店時とは異なるものの、根強いファンが来店する。
閉店について「苦渋の決断」と話す新島さんは、平和台球場なき後もファンに語り継がれることには「イベントの一環で運営してきただけなのに、感慨深い」と照れる。孫からの要望でレシピは残しておく。







