「飾り山」2年ぶり公開へ 博多の夏!山笠の準備が進む
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福岡の夏の風物詩・博多祇園山笠。新型コロナウイルスの影響が長引き、今夏も追い山関連行事は開催が見送られます。それでも、7月1~15日の山笠期間中は福岡市内12か所できらびやかな飾り山が公開される予定です。2年ぶりに博多の街を彩る飾り山の準備が本格化しています。
飾り山は12か所でお披露目!
博多祇園山笠は、福岡市博多区の櫛田神社を中心に行われる祭りです。疫病退散を願って始まったとされ、約780年の歴史があります。期間中は約300万人の人出でにぎわい、最終日(7月15日)の「追い山」では舁(か)き山を担いで街を駆け抜ける男たちの熱気で、祭りは最高潮に達します。
2020年は新型コロナで多くの行事が取りやめになり、一部の神事と櫛田神社の飾り山1基が公開されるのみでした。今年も感染収束の出口は見えず、博多祇園山笠振興会は追い山関連行事の2年連続延期を決めました。
一方で、例年14基が登場する飾り山は、数を12基に減らして披露されます。振興会は感染防止のため、各流(ながれ)や見物人に向けたガイドラインを作成し、公式サイトで周知を図っています。
人形師による作業は大詰め
飾り山の人形を手がける博多人形師の作業も大詰めを迎えています。福岡県那珂川市の白水英章さんは、四番山笠・東流の「表」と「見送り」、十一番山笠・天神一丁目の見送り、十四番山笠・博多駅商店連合会の「表」を制作しています。
作業が終盤に入った6月12日、白水さんは熱気がこもる工房で、人形に衣装を着せていました。「2年ぶりだけどやっぱり楽しいね。家中が忙しくて、文化祭のような雰囲気」と充実した表情です。
2020年は、振興会が春に延期方針を示してから準備をすべてストップ。「山笠がないなんて考えたことがなく、どうしていいのか分からなかった」と振り返ります。気がつけば夏が終わり、次の山笠へ意識が向いたのは今年に入ってからだといいます。「流の人と山笠の話をしているうち、『次がある』という気持ちにようやくなれた」
今夏も追い山は延期され、舁き山の出番もありません。それでも、飾り山を制作することができ、花咲かじいさんのほか、織田信長が今川義元を破った桶狭間の戦い、山笠の起源となった鎌倉時代の高僧・聖一国師をテーマに山笠に向き合っています。
白水さんは「飾り山を作れるようになっただけでも一歩進んだ。飾り山を見て『博多の夏』を感じてほしい」と話しています。
博多の夏を迎える神事も着々
福岡市内でも、長法被姿の男たちを見かけることが多くなりました。十五番山笠・キャナルシティ博多は6月12日、福岡市博多区の櫛田神社浜宮で舁き棒を洗い清める神事「棒洗い」を行いました。
舁き棒とは、舁き山と飾り山の下部についている6本の棒のこと。博多湾の海水でこの舁き棒を清めることは、山を建てる前に欠かせない神事です。
この日は、マスクを着用したキャナルシティ博多の社員やテナント従業員ら約30人が朝から集まり、神職のおはらいを受けたあと、舁き棒に海水をかけてたわしで磨いて2年分のほこりを落としました。
棒を清めた後は、キャナルシティの中央部にあるサンプラザステージに移動し、資材を集めて安全を祈願する「小屋入り」、舁き棒と山笠台をくくりつける「棒締め」を行いました。
荒木明徳支配人は「お客様は驚きや楽しさを求めてキャナルシティにいらっしゃいます。『やっぱりすごいね』と思ってもらえる自信があります」と、2年ぶりとなる飾り山のお披露目を楽しみにしていました。
飾り山は下から見上げるのがほとんどですが、キャナルシティのサンプラザステージは、上階からも見ることができる構造です。荒木支配人によると、噴水ショーやプロジェクションマッピングとの共演も見所とのことです。
2021年の飾り山標題一覧
番 | 流 | 標題 |
四 | 東流 | (表)華満開泰平祈願 (見送り)華満開泰平祈願 |
八 | 上川端通 | (表)阿吽金剛力士像 (見送り)風雷あかちょこべ之縁起 |
九 | 新天町 | (表)武勇一筋憐愍涙 (見送り)サザエさん |
十 | 博多リバレイン | (表)婆裟羅大名道誉 (見送り)博多祝之七福神 |
十一 | 天神一丁目 | (表)羅生門鬼退治勇 (見送り)奇襲桶狭間の戦 |
十二 | 渡辺通一丁目 | (表)山崎の合戦 (見送り)愛と勇気のアンパンマン |
十三 | 福岡ドーム | (表)快進撃 鷹く (見送り)雄姿剣洗川 |
十四 | 博多駅商店連合会 | (表)国師泰平を祈願 (見送り)ももち浜ストア「うどんMAP」 |
十五 | キャナルシティ博多 | (表)源平合戦碇知盛 (見送り)牛若丸鞍馬修行 |
十六 | 川端中央街 | (表)時今本能寺 (見送り)KBCふるさとWish |
十七 | ソラリア | (表)猛将才蔵去退病 (見送り)筑紫遷都誉 |
番外 | 櫛田神社 | (表)神武東征肇国誉 (見送り)神話稲羽之素菟 |