地域の交流拠点へ! 北九州市立大で続くコラボラキャンパスネットワーク
記事 INDEX
- 親子でアート体験
- コラボレーション×ボランティア
- 学生も交流や企画に参加
北九州市立大学で、大学を開放して、地域の団体と様々な活動を展開する取り組みが続いています。キャンパスを使って行われている子育て支援の現場を訪ね、地域の交流拠点として歩む大学の姿を取材しました。
親子でアート体験
昨年12月17日、北九州市立大学北方キャンパス4号館(北九州市小倉南区)の1室に、乳幼児とその親5組が集まっていました。臨床美術士の播磨一美さんの指導を受けながら、絵具や粘土を使って親子でキャンバスに雪を描いていきます。
途中で興味がなくなって室内をうろうろしたり、絵具で服を汚したり――。一筋縄ではいきませんが、最後はみんなが思い思いの作品を完成させました。
このアート体験は、「プレイセンター・ハロハロ」の活動として行われています。プレイセンターは、ニュージーランドで生まれた考え方で、子どもの自由な遊びを大切にしながら親も一緒に学び育つことを目的とした自主運営の活動です。
この活動を2010年に始めた北九州市立大では毎週金曜、0歳~就学前の子どもと親を対象に、アートに取り組んだり、屋外で元気に遊んだりしながら、親同士の学びあいも行っています。
この日、3歳の男の子と参加した女性は「子どもも親も普段は大学に入ることがないので、いい経験になっています。メンバーと子育ての悩みも話せ、心が救われます」と笑顔を見せました。
コラボレーション×ボランティア
こうした取り組みは、同大と市民団体による「コラボラキャンパスネットワーク」を中核に進められています。「コラボラ」は、「コラボレーション」と「ボランティア」の二つを組み合わせた造語。2006年に始まって以降、キャンパスでの菜園の運営や子育て支援、ITスキルなど様々な分野で、地域の関わりを生み出してきました。現在は大学と五つの団体が参加しています。
コラボラキャンパスネットワークと大学生の連携をサポートする地域共生教育センターの石川敬之准教授は「ネットワークのおかげで、団体にとっても安心して活動できる場所ができました。複数の団体が対等な立場で連携している中で新しい組織ができるなど、1対1では派生しない関係も生まれています」と話します。
学生も交流や企画に参加
「コラボラ」で展開される活動には、多数の学生も参加しています。当初はボランティアサークルのメンバーが主体でしたが、地域の課題解決に貢献する人材を育成する地域創生学群の学生も2010年から参加するようになりました。今ではコラボラの定例会議に出席して、企画段階から携わっています。
12月のアート体験にも学生たちの姿がありました。外国語学部1年の竹谷隆さんは「参加してみて、子どもとの関わり方がわかりました。親と会話することで新しい視点も発見でき、楽しいだけでなくそれ以上の学びがあります」と話していました。
プレイセンター・ハロハロのスーパーバイザーを務める中村智香子さんも「学生がいることで、親も自分の子の将来の姿を想像できるだろうし、いろんな人と関わることで子育ても楽しくなります」といいます。
ハロハロの取り組みは他のサークル活動の参考にもなり、プレイセンター方式が学外にも広がっているといいます。石川准教授は「コラボラキャンパスネットワークの枠組み自体は複雑なものではありません。これからも地に足のついた活動を続け、自然にゆっくりと広がっていけばいいと思っています」と話しています。