コロナ禍で相次ぐ学級閉鎖 フードロス削減へ福岡市で給食パンを販売

学級閉鎖によるフードロスが課題に(提供:福岡市学校給食公社)

記事 INDEX

  • 福岡市学校給食公社って?
  • 学級閉鎖で大量廃棄の危機
  • 食育や地産地消にも取り組む

 新型コロナウイルスの第6波により、小中学校などで学級閉鎖が相次いでいます。登校日数が減ることは授業の遅れだけでなく、日々の給食にも影響します。コロナ下の給食について、福岡市学校給食公社の事務局長・酒見幸男さんと総務部長・中石康徳さんに話を聞きました。

福岡市学校給食公社って?

 福岡市内の小中学校では、毎日12万~13万食の給食が提供されています。公社は、給食の材料の調達を担っており、その食材費は年間60億円もの規模になります。


公社が入る「福岡市教育センター」

 給食の献立は、提供する2~3か月前をめどに、使用する食材なども含めて栄養教諭が中心になって考えます。決まった献立をもとに、公社の職員が価格や調達量などを納入業者と調整し、各小学校や給食センターに物資を供給しています。

 献立は、中学校が2グループ、小学校が5グループに分かれています。これは、使用する食材が一度に集中しないようにするためで、1か月の間に提供する献立の順番をグループごとに入れ替えているそうです。


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学級閉鎖で大量廃棄の危機

 余った食材については従来、野菜や牛乳など日持ちするものは翌日以降に使い、困難な場合は飲食関係の事業者に販売したり、フードバンクを通じて子ども食堂や福祉施設に無償提供したりしていました。


学級閉鎖で大量に余ったパン(提供:福岡市学校給食公社)

 年明けに新型コロナの第6波が襲来すると、学級閉鎖が急激に増加。閉鎖は1~2日前に決まるケースが多いため、食材のキャンセルが間に合わず、余るパンは連日、数千個にのぼる事態に。さらに消費期限が当日のため、フードバンクでもすべてを受け入れることは難しく、1月18日から早良区役所で一般販売に踏み切りました。


給食パンの即売会の様子(提供:福岡市学校給食公社)

 現在は市役所ふれあい広場に場所を移し、15時から販売しています。「フードロス解消に協力したい」「懐かしい」といった好意的な声が多く、15~30分で完売するなど予想以上の反響があるそうです。

 余剰になるパンの量は、その日の学級閉鎖の状況に左右されるため、公社のTwitterアカウントで販売予定の有無などをアナウンスしています。パンの売り上げは、今後の食材費に充てて給食に還元されるということです。

食育や地産地消にも取り組む

 公社では、物資調達のほかにも様々な取り組みを行っています。事業者や生産者から"食"について話を聞きとり、食育などに役立てています。また、家庭の食事の参考にしてもらおうと、公社の公式サイトで献立のレシピを公開しています。


公開しているレシピの一部(公社の公式サイトより)

 地産地消も進めています。事業者との共同開発により、能古島で育った甘夏のマーマレード、小呂島沖で取れたブリを加工したふりかけなど、新たな商品を生み出しています。これらの商品は給食に提供しており、中石さんは「福岡市内でも多種多様な食べ物が生産されていることを、子どもたちに知ってほしい」と話しています。


余ったパンや野菜を日々回収する(提供:福岡市学校給食公社)

 コロナ禍の影響が引き続き懸念されますが、酒見さんは「フードロスの解消や安心安全な食の提供、地産地消に取り組みながら、学校給食の付加価値を高めていければ」と語ります。なお、学級閉鎖によって過剰に徴収した形になっている給食費については、3月分で調整されるため「ご安心ください」とのことでした。


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