スマホで予約した弁当が学校に届く 中高生と保護者にうれしい福岡発「ペコフリー」
記事 INDEX
- スマホで超簡単!
- 保護者の負担軽減
- 食品ロス削減にも
給食がない学校の生徒に弁当を届ける福岡発のサービスが全国に広がり始めた。スマートフォンのアプリを使って簡単に予約でき、開始からわずか1年で全国約100校が導入した。弁当を準備する保護者の負担軽減や廃棄食材の削減につながる学校の"ランチ革命"として注目されている。
スマホで超簡単!
3月17日の正午過ぎ。福岡雙葉学園(福岡市中央区)のホールに中高生たちが入ってきた。机の上にはクラスごとに大きなボックスが置かれ、生徒たちが事前に注文していた弁当を受け取って教室に持ち帰っていく。
このサービスを展開するのは福岡市の新興企業「ペコフリー」。生徒は1食450円のメニューから食べたい弁当をスマホで選び、保護者が電子マネーなどで事前に購入したポイントで決済する。
予約は原則前日までだが、一部メニューは当日の午前9時まで注文できる。ペコフリーと契約している弁当業者は、注文された数だけ作って学校に届け、指定された場所で生徒に渡す。
保護者の負担軽減
ペコフリーを月に何度か利用しているという高校生は「親が忙しい時は、当日の朝に頼むこともあります」と話す。保護者の女性も「いざという時の頼れる"保険"があって気持ちが楽。子どもが何を食べたかが分かるのも助かります」と歓迎する。
雙葉学園の生徒の多くは、保護者が作った弁当を持参しているという。1~2割の生徒は校内の自動販売機でパンを購入するなどしているが、商品によっては売り切れたり、長い列ができたりすることもあった。
学園では、食堂の開設も検討していたが、運営の負担が重くなることから、生徒の昼食の選択肢を広げようとペコフリーの導入を決めた。多い時は全校生徒の約2割にあたる150食ほどの注文があるという。
弁当業者にもメリットがある。代金の10%を手数料としてペコフリーに支払うが、売り切れないように多く作りすぎて廃棄するようなケースがなくなる。配達先の学校で集金する必要がなく、スタッフ1人で対応できるため、省力化にもつながっている。
食品ロス削減にも
ペコフリーは、運営会社の代表・川浪達雄さんがかつて給食事業会社で学校の食堂運営に携わったことがきっかけになり、誕生した。学食は材料の必要量を予測することが難しく、食材廃棄により利益を圧迫されることもあったため、IT技術で課題を解決しようと発案。2020年に西日本フィナンシャルホールディングスのビジネスコンテストで最優秀賞を受け、翌年4月にサービスを開始した。
冬休みからは、小学校の学童保育向けの事業もスタート。通常は給食がある小学校も、長い休みの期間中に学童保育を利用する時だけは弁当持参が求められるケースが多い。子ども用の弁当へのニーズは大きく、学童保育所の運営を受託しているテノ.ホールディングス(福岡市)と提携して、すでに約100校への導入が進んだ。
今年2月には、これからの成長が期待される企業として、福岡県などが主催するデジタル活用ビジネスコンテストで最高賞の県知事賞にも輝いた。川浪さんは「食材の高騰もあって業界は苦しい状況にある。保護者や生徒に喜んでもらないがら、業界も持続的に利益を上げられるビジネスにしたい」と意気込んでいる。