明治創業の味が復活! みやま市の『吉開のかまぼこ』を24歳女性が承継

吉開のかまぼこを引き継いだ林田さん

記事 INDEX

  • お客さんが望む商品を届けたい
  • 50~60社を訪問して支援を要請
  • バトンタッチの新しいモデルに

 後継者難から休業していた福岡県みやま市の老舗かまぼこ店「吉開のかまぼこ」が事業承継によって復活を果たしました。引き継いだのは、学生時代から店を支援してきた林田茉優さん(24)。無添加にとことんこだわる"古式かまぼこ"の販売再開に向け、先代らとともに試作や情報発信に取り組んでいます。

お客さんが望む商品を届けたい

 吉開のかまぼこは1890年(明治23年)の創業。3代目の吉開喜代次さん(77)が作ってきた古式かまぼこは、「化学調味料など体に悪いものを徹底して省こう」と研究を重ね、35年ほど前に完成させた商品です。


 原料は、魚のエソ、天然の海水塩、みりん、昆布だしのみ。誰でも安心して食べられる優しいおいしさが地元を中心に愛されてきました。しかし、自身の高齢化と後継者がいないことなどを理由に、2018年半ばから暖簾(のれん)を下ろしていました。


1890年創業の「吉開のかまぼこ」

 一方、福岡大学経済学部の学生だった林田さんはベンチャー企業について学んでいました。吉開さんと出会ったのは、休業中の2019年8月。企業の課題解決に携わるプロジェクトの一環で店を訪ねたときでした。 

 休業して1年ほど経っていましたが、店には再開を願う人からの電話や手紙が届いていました。「お客さんから望まれる商品は本物。何か力になりたい」。そう考えた林田さんは福岡市からみやま市に通い始め、事業承継を念頭に行動を起こしました。


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50~60社を訪問して支援を要請

 福岡の食品関連の会社を訪問しては、吉開のかまぼこの魅力をPRし、支援を呼びかけた林田さん。足を運んだ先は50~60社にのぼったといいます。

 ただ、事業再開のプランを説明しても、かまぼこの将来性や担い手不足などの課題を指摘され、支援に前向きな企業はなかなか現れなかったといいます。工場から出る騒音や煙などに対する近隣住民の声もあり、昨年6月頃には会社解散の寸前まで追い込まれました。


「おじいちゃんと孫のような関係」という吉開さん(左)と林田さん

 それでも林田さんはあきらめず、近隣住民の説得を始めました。話し合いを重ねて少しずつ理解を広げ、昨年9月にはかまぼこの試作をスタート。難航した支援企業探しも、試作品を関係者に配る中で、製造業の買収を検討していた福岡市のシステム開発会社「フロイデ」と出会い、その子会社として再出発することが決まりました。

バトンタッチの新しいモデルに

 事業再開の枠組みが決まった後も、林田さんは自分が後継者になることは考えていなかったといいます。しかし、子会社になる直前の12月、フロイデ社長から"新生・吉開のかまぼこ"の社長就任を打診されます。

 「能力は関係ない。思いの強い人が中心に立っていないと、周りの応援は得られない。突破口を開いてきたのは林田さん。君しかいない」。その言葉を聞いて、社長を引き受けることを決意しました。


クラウドファンディングのサイト

 社長就任後は、機械の点検や仕入れ先へのあいさつ、ブランディングなどに奔走してきました。今年3月からは、かまぼこの先行購入などができるクラウドファンディングを開始。Instagramなども活用して情報発信に努めています。

 会長に就いた吉開さんは「お客さんにもう一度食べてほしいと思っていたので非常にありがたい。きちんと引き継ぎができるまでは携わっていきたいです」と笑顔をみせます。


"二人三脚"がしばらく続きそう

 林田さんは、自身や吉開さんの姿が、事業承継を目指す若者や「人生100年時代」を生きる高齢者のモデルになれるのではないかと考えています。

 「吉開のかまぼこのストーリーを知ってもらい、お客さんと一緒に育っていけるような双方向のコミュニケーションに力を入れようと思っています。これまで築いてきた地元との関係を大事にしながら、全国にもエリアを広げ、こだわりや思いに共感した人たちに食べてほしいです」


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