私らしく生きる! 働く女性が集う「福岡キャリア・カフェ」
記事 INDEX
- 支えになった言葉は
- つながりは心を救う
- LINE活用や個別相談
キャリアを重ねたいけれど、先のイメージが描けない――。働く女性のそうした悩みの解決に役立ててもらおうと、福岡県は8月16日から週1回、女性管理職や経営者ら手本になる「ロールモデル」と交流できる「福岡キャリア・カフェ」を福岡市のJR博多駅ビル内に開設します。トークイベントなどを企画し、「自分らしい働き方や生き方のヒント」探しをサポートしていく考えです。
※福岡キャリア・カフェのオープンは8月9日の予定でしたが、台風6号の接近に伴い16日に変更されました。
支えになった言葉は
「『おまえに任せた。責任は俺がとる』。そう背中を押してくれた上司がいて、私もこんな上司にならないといけないなと思った」「育児休業明け、泣く子を預けて自分は会社へ。こんな思いまでして仕事をするんだから、何か役に立つことをしなければ、と思ったのが転機」
キャリア・カフェの開設に先立ち、7月30日に駅ビル内でキックオフイベントが開かれました。前半のトークライブでは、JR九州の博多駅長、鐘ヶ江理恵さんら3人がロールモデルとして登壇。キャリアでの転機や支えになった言葉を語りました。
登壇者の一人で、福岡に拠点を置く商社・スリーアールの総務人事部副主任の今井香那子さんは、育児などによる10年の“ブランク”を経て就職した歩みを紹介しました。ママの再就職を支援する団体との出会いが転機だったといいます。
団体側の「子育てもキャリア」「(保育園へのお迎えの時には)『ごめんね』じゃなくて『待っててくれてありがとう』と声をかけてあげてね」という助言が支えになったそうです。会場を訪れた約100人はうなずきながら、経験談に聞き入っていました。
つながりは心を救う
イベント後半では、ロールモデル22人をそれぞれ数人ずつで囲み、グループに分かれて意見交換。仕事を続けられる理由に関するやり取りだけでも、「お世話になった同僚や部下がいるから」「金銭面で住宅ローンがあるのも大きい」「単純に仕事が楽しい」「夫の給料に負けたくない」など十人十色の声が聞かれました。
北九州市から参加した会社員女性(40)は「いろんな人を知るきっかけになる場。転職など自分の経験を伝えることで誰かの役に立てることもあり、楽しい」と笑顔。別の会社員女性(27)は「東京にいた頃より、福岡ではなかなか異業種でつながれる場がなく、こうした機会はありがたい」と話しました。
人口減少や出生率低下も背景に女性の労働力の重要性が高まる一方、県によると、女性が少ない職場などで「ロールモデルがいない」「交流の場がない」といった悩みが聞かれるそうです。県は、キャリア・カフェの開設により、職場の垣根を越えた交流を生み出し、働く女性らの課題解決などに役立ててほしい考えです。
後半のファシリテーターを務めた高田朝子・法政大経営大学院教授(経営学)は「今は、女性の管理職が珍しくない社会への過渡期。こうした場で(悩みなどを)話すことは、知恵を育み、ストレス発散にも役立つ」と交流の重要性を指摘。「何かあったら話せるネットワークは心を救う。リアルは面倒だが交わせる情報量は多く、会うことをいとわない方が(キャリアに)プラスになる」と強調しました。
LINE活用や個別相談
キャリア・カフェは原則、毎週水曜の18:30~20:30、JR博多駅ビルの複合商業施設・アミュプラザ博多の地下1階にある「コワーキングスペースQ」に開設されます。対象は福岡県内の働く女性で、利用には会員登録(無料)が必要です。専用ホームページで受け付けています。
カフェ内では今後、ロールモデルとの交流イベントや、女性のキャリアを応援する団体による講座などを開催予定。月1回の「キャリアトーク」では、「子育て期離職からの道のり」「フリーランスの働き方」「管理職へのチャレンジ」など多彩なテーマを設けます。
会員専用のLINEのオープンチャットを設け、SNSでの交流も促します。また、希望者には、ロールモデルとの個別マッチングも行います。
県の担当者は「イベントへの参加や会員登録の数が多く、予想した以上のニーズを感じている。登録無料で、来たいときだけ参加でき、SNSでのつながりなど、気軽に参加できる仕組みを用意した。まずは登録して、情報をのぞいてみてほしい」と呼びかけています。