博多港から世界遺産・沖ノ島へ 「クイーンビートル」に乗って3時間半の船旅

クイーンビートルの展望デッキから望む沖ノ島

 新型コロナウイルスの影響で、予定していた日韓航路に就航できない状態が続くJR九州高速船(福岡市)の新型船「クイーンビートル」。福岡市の博多港から世界文化遺産・沖ノ島(福岡県宗像市)に向かい、周囲を巡る約3時間半のコースが好評だ。

「神宿る島」がすぐそばに

 沖ノ島は九州本土の沖約60キロに位置する。4~9世紀の古代祭祀(さいし)跡があり、国宝となった純金の指輪など約8万点の奉献品が手つかずの状態で発見されたことから「海の正倉院」とも言われる。女人禁制や「一木一草一石たりとも持ち出してはならない」という禁忌が今も守られ、気軽に訪れることはできない島だ。


博多港から船旅に出る乗客たち

 クイーンビートルの定員は502人で、ビートルの2.6倍に増えた。3階構造の船内には売店やカフェのほか、キッズスペース、展望デッキなども設けられている。シートベルトの着用義務などがないため、航行中も船内で自由にくつろぐことができる。


出港から1時間ほど。船の前方に姿を現した沖ノ島

 博多港を出て、左手に能古島や玄界島を眺めながら進んで1時間ほど。宗像大社などを紹介する船内のモニター画面を見ていると、前方から「見えた、見えたよ」という歓声が聞こえた。いよいよ沖ノ島に近付いてきた。


島に向かってカメラのシャッターを押す乗客たち

 島から2キロほどの距離を保ち、速度を落として一周する。人を寄せ付けない急峻(きゅうしゅん)な岩山は、神々しささえ感じる。展望デッキでは、島に向かって手を合わせたり、盛んに写真を撮ったりする人の姿が見られた。


人を寄せ付けない急峻な岩山が続く


 潮風を受けながら、「あー、来て良かった」とつぶやいたのは、福岡県筑紫野市から友人と参加した木下順一さん(57)だ。「一度は行きたいと長年思っていた沖ノ島をこんなに近くで見られて感無量」と興奮を抑えられない様子だった。


潮風を受けながら、展望デッキで写真を撮る乗客たち

 JR九州高速船によると、ツアーは好評で、8月のお盆の頃まで運航を計画しているという。



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